WSL 【Windows Subsystem for Linux】
概要
WSL(Windows Subsystem for Linux)とは、Windowsの拡張機能の一つで、Linuxとの相互運用性を向上させるためのシステム。米マイクロソフト(Microsoft)社が開発・提供しているもので、Windows上でLinux向けのプログラムを実行することができる。これまでもCygwinなどのツールを用いてWindows上でLinuxコマンドを実行したり、Linux向けのプログラムをWindows向けにコンパイルし直して実行することはできたが、WSLではLinuxの実行可能ファイル(ELF形式)をそのままWindowsシステム上で実行できる。
初版のWSL1は2017年に公開され、LinuxのシステムコールをWindowsのシステムコールに変換することでLinuxプログラムの実行を可能としている。Linux向けの主要なシェルやコマンドなどがWindows上で使用できるが、Linuxカーネルそのものは提供されないため実行できないプログラムもある。
2019年に公開されたWSL2では、同社の仮想化技術「Hyper-V」を用いてWindows上に仮想マシン(VM)を立ち上げ、その上でLinuxカーネル自体を起動する。システムへの負荷はWSL1より重くなるものの、Linuxそのものが組み込まれる形となるため互換性は高い。
当初の対応Linuxディストリビューションは開発に協力した英カノニカル(Canonical)社のUbuntuのみだったが、正式公開後にDebian GNU/LinuxやFedora Remix(FedoraをWSL用に調整した特別版)、SUSE Linux、openSUSE、Kali Linux、Oracle Linuxなど著名なディストリビューションが追加された。これらはMicrosoft Storeから入手・導入することができる。
(2023.9.21更新)