.chmファイル 【Microsoft Compiled HTML Help】
概要
.chmファイル(Microsoft Compiled HTML Help)とは、かつてWindowsで標準的に用いられていたヘルプファイルの形式の一つ。複数のHTMLファイルを連結して圧縮し、単一のファイルとして格納することができる。1997年にWindows 95 OSR 2.5に初めて採用され、Windows 98以降はそれまでのMicrosoft WinHelp形式に代わり標準のヘルプファイル形式となった。Windowsに標準でビューア(閲覧ソフト)が組み込まれ、Windows対応ソフトウェアのヘルプとして標準的に用いられた。
開発者はWebサイトを制作するように複数のHTMLページをリンクして一連のヘルプを作成する。これを、同社が無償配布している「HTML Help Workshop」を用いてコンパイルし、バイナリ形式の.chmファイルに変換する。内部的にはLZX方式でデータ圧縮されており、元のテキストデータよりも容量が削減される。
文字サイズや色の変更、画像の埋め込み表示など、Webページで利用可能な装飾を用いることができるほか、各国語の文字コードに対応している。ビューア側に検索エンジンが内蔵されており、ヘルプ内をキーワード検索することができる。
複数のWebページを単一のファイルにまとめて配布できる利便性から、電子書籍などで用いられた「.lit」ファイル形式などの派生形式が生み出された。Windows以外のプラットフォームでも.chmファイルの内容を閲覧するビューアが配布されている。
2001年には後継のMicrosoft Help 2形式(.hxsファイル)が、2010年にはさらに後継のMicrosoft Help Viewer形式(.mshcファイル)が発表され、.chmファイルは過去の規格となっている。.chmファイルを通じた攻撃手法などもあり、Windows 10やWindows 11など近年のWindowsではバージョンや設定によっては特別な操作をしなければ開くことができなくなっている場合がある。