Windows NT

概要

Windows NTとは、米マイクロソフト(Microsoft)社が業務向けに開発・販売していた小型コンピュータ向けのOS製品のシリーズ名。それまでのWindowsシリーズとは別にゼロから新たに設計開発された製品系列で、高い安定性やセキュリティ機能により従来UNIX系OSが使われてきたサーバなどの用途に用いられた。

OSの中核部分の機能を絞り込んで周辺部やアプリケーションから隔離するマイクロカーネル型の設計となっており、一部のソフトウェア不具合が生じても全体が巻き込まれることがない高い安定性を獲得している。ユーザーアカウントによる利用者の識別とファイルシステム機能などへのアクセス権の設定も本格的に導入され、高いセキュリティが必要な業務用途にも導入できるようになっている。

Windows NT 3.51からはそれまで標準だったFATに代わり、新たに開発された高い安定性を誇るファイルシステムNTFS」(NT File System)が導入された。大容量の記憶装置への対応や、暗号化データ圧縮、詳細なアクセス権の指定、長いファイル名ディレクトリ名の使用などが可能となった。

当時最新の32ビットマイクロプロセッサ(CPU/MPU)のみに対応する完全な32ビットOSで、アプリケーション側の振る舞いの影響を受けず並行に複数のソフトウェア実行できるプリエンプティブマルチタスクとなっている。モダンな設計で高い機能性を有する反面、ハードウェアへの要求水準は高く、当初は当時の他のOSに比べ性能が低い点が批判された。

Windows 3.1/9xとの違い

最初のバージョンは1994年に発売されたWindows NT 3.1だが、これは同世代の一般向けWindows製品であるWindows 3.1に合わせた番号であった。当時のWindowsは16ビット時代のOSであるMS-DOS機能拡張として実装され、中核部分はMS-DOSそのものだったが、Windows NTはその仕様に引きずられることなく完全に新しい製品として開発された。

Windows 3.1の後継として登場したWindows 95に始まるWindows 9xシリーズも互換性のために古い設計を引きずっていたが、ハードウェアに直接アクセスして高いグラフィック性能を引き出すDirectXなどの機能により一般向けパソコン市場で広く普及していった。Windows 9xシリーズの中核部分は「9xカーネル」、Windows NTの中核部分は「NTカーネル」と呼ばれよく対比された。

全WindowsのNT化

Windows NTの名称を関する製品は1996年のWindows NT 4.0が最後だが、後継のサーバワークステーション向けOS製品であるWindows 2000も同様の設計を引き継いでおり、起動時の画面にWindows 2000のロゴと共に “built on NT Technology” の語が表示される。

一方、一般消費者市場向けのWindows 9xシリーズは2000年のWindows Meで打ち切りとなり、後継のWindows XPからはWindows NT/2000を基盤とした設計に変更された。以降はパソコンサーバ向けのWindows製品のすべてがNT系の設計で統一された。

(2018.8.9更新)

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この記事の著者 : (株)インセプト IT用語辞典 e-Words 編集部
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