Windows 10
概要
Windows 10とは、米マイクロソフト(Microsoft)社の小型コンピュータ向けオペレーティングシステム(OS)製品の一つ。パソコンやタブレット端末、スマートフォン(Windows 10 Mobile)、組み込みシステム(Windows 10 IoT)で利用できる、同社のWindowsシリーズの一つで、2015年7月に発売された。パソコンおよびタブレット端末向けはWindows 8.1の後継で、スマートフォン向けはWindows Phone 8.1の後継、組込みシステム向けはWindows Embeddedの後継である。
操作感
Windows 8で導入されたタイル表示やタッチ操作(画面に触れて位置を指示する方式)と、Windows 7までのデスクトップ画面を融合した表示・操作体系となっており、マウス操作でもタッチ操作でも使えるようになっている。
Windows 8でいったんは削除されたスタートメニューも標準機能として復活し、以前からのWindows利用者もなるべく違和感なく移行できるよう配慮されている。スタートメニューにはWindows 8風のライブタイルやおすすめアプリが表示されるなど、単なるメニュー一覧ではなくなっている。
新機能
新しい機能として、一部の操作や情報検索などを音声による指示で行える「Cortana」(コルタナ)や、Internet Explorerに代わる新たなWebブラウザ「Microsoft Edge」(エッジ)、ログイン時などにパスワードに代えて指紋認証や虹彩認証、顔認証などが利用できる生体認証機能「Windows Hello」、スマートフォンなどによく見られる通知センター機能にあたる「Action Center」(アクションセンター)、複数のデスクトップ画面を切り替えて表示できる仮想デスクトップ機能などが搭載されている。
プログラム実行環境として従来のWindows API(Win32/Win64)、.NET(.NET Framework/.NET Core)に加え、Windows 8のWindows Runtimeを発展させた「UWP」(Universal Windows Platform)が追加された。
Windows 10が動作する環境であれば、パソコンやゲーム機、組み込み機器といった機器の種類の違い、あるいは、x86系、x86-64系、ARM系といったCPUの種類の違いを超えて同じアプリケーションを動作させることができる。
エディションの違い
従来のWindowsと同じように、家庭向けの「Home」エディション、ビジネス向けの「Pro」エディション、企業や官公庁などの大規模環境向けの「Enterprise」エディションが提供され、教育機関向けに「Education」「Education Pro」が用意されている。
Homeでは、ProやEnterpriseに用意されている企業向けの機能(仮想化関連や暗号化関連など)や、Windows ServerやActive Directoryで運用される企業内ネットワークに参加する機能などが削除されている。Educationの機能はEnterpriseにほぼ準じるが、学校や大学など教育機関にしか販売されない。
バージョン番号と後継製品
Windows 10はWindows 7、Windows 8(8.1)に続く製品だが、「9」は欠番となり、「Windows 9」という製品は存在しないことになる。システム内部のバージョン番号はWindows Vista以降「6.x」の番号が使われてきたが、Windows 10では製品名と同じ「10.0」となっている。
Windows 10は年1~2回の大型アップデートが行われ、これまでは新製品の発売で行われていたような大きな更新も同じWindows 10の修正という形で行われた。バージョンの違いは「Windows 10 1703」(2017年3月版)のように西暦の下2桁と月を組み合わせた番号で識別された。後に「20H2」(2020年10月版)のように上半期が「H1」、下半期が「H2」と表記されるようになった。
同社では一般向けのWindows製品(Windows Server以外)はWindows 10が最後で、Windows 10の更新という形でWindowsを進化させていく方針であると説明していたが、後にこの方針は撤回され、2021年に後継製品の「Windows 11」(ウィンドウズイレブン)が発売された。最終版の「22H2」一般向けのサポートは2024年まで、企業向けに最も長くサポートされる版(21H2 IoT Enterprise LTSC)は2032年までとなっている。