エミュレータ 【emulator】 エミュ
概要
エミュレータ(emulator)とは、ある装置やソフトウェア、システムの挙動を模倣し、その代替として用いることができるソフトウェアなどのこと。そのように擬似的に別の装置やソフトウェアの環境を再現することを「エミュレーション」(emulation)という。実行形式のコンピュータプログラムの多くは、特定のコンピュータやCPUの機種、ファームウェアやオペレーティングシステム(OS)の種類に依存した仕様となっており、通常は他の機種やソフトウェア環境では動作しない。
エミュレータは特定の装置やソフトウェアなどの振る舞いを模倣することができる別の装置やソフトウェアで、標的のシステムとまったく同じように動作する。プログラムにとっては本来の実行環境と区別がつかず、別の環境でそのまま実行することができるようになる。
ただし、プログラムやデータの改変や再構成が不要なだけで、利用できる機能に制約が生じたり、性能が本来より劣化したりすることはある。特に、ハードウェアをソフトウェアで再現したエミュレータは性能が何桁も低下する場合があり、実物と同じように使用することは困難な場合もある。
エミュレータは異なる機種向けのソフトウェアを利用したい場合や、設計が刷新された新しい機種で古い機種のソフトウェア資産を利用したい場合、種類が異なるコンピュータでソフトウェアを利用したい場合(パソコン上で家庭用ゲーム機用ソフトを遊ぶなど)、異なる機種向けのソフトウェアを開発する場合(パソコン上でスマートフォン向けアプリを開発するなど)などに用いられる。
エミュレータはソフトウェアとして実装・提供されるものが馴染み深いが、CPUが別の機種のCPUのプログラムをそのまま実行できる機構を内蔵するなど、ハードウェアの形で提供されるものもある。コンピュータの振る舞いを丸ごと模倣するようなエミュレータは「仮想マシン」(VM:Virtual Machine)とも呼ばれる。
(2024.8.19更新)