vi
概要

マウスなどのポインティングデバイスを使用せず、キーボードのみで操作するよう設計されている。大きな特徴として「モード」の概念があり、カーソル移動やコマンド入力を行う「ノーマルモード」と、文字を直接入力する「インサートモード」を使い分ける。カーソル移動には方向キーではなく「h」「j」「k」「l」の各文字キーを割り当てており、各種の機能もすべてキー入力のコマンドとして呼び出す。
この操作体系に慣れるには一定の学習が必要だが、習得後はキーボードから手を離さずに高速な編集ができる。POSIX規格でも互換仕様が定められており、ほとんどすべてのUNIX系環境で共通して利用できる編集環境となっている。普段使っていないシステムで急遽作業しなければならなくなった場合にも、viの操作を知っていればその環境のviでテキスト編集が可能である。
プログラム本体のサイズが非常に小さく、処理能力の低いコンピュータでも軽快に動作する。このため、オペレーティングシステム(OS)のインストールイメージや最小構成の環境に標準で含まれていることが多く、サーバのトラブル対応など限られた環境でのテキスト編集において頼りにされる場面が多い。
最初のバージョンは1976年にビル・ジョイ(William N. Joy)氏がカリフォルニア大学バークレー校でUNIX実装の一つであるBSD(Berkeley Software Distribution)のために開発し、その後他のUNIX系OSへも移植されて普及した。現在ではオリジナルのviよりも、機能を拡張した互換実装が主流となっている。代表的なものに「Vim」(vi improvedの略)があり、macOSやBSD系OSには「nvi」が搭載されている。Linuxディストリビューションではviマンドの実体がVimやその簡易版であることも多い。EmacsとはUNIX系環境における二大エディタとして長年並び称されており、両者の愛好者の間では優劣をめぐる論争が今日まで続いている。