X Window System 【X11】 X.Org
概要
X Window System(X11)とは、UNIX系OSで標準的に用いられるウィンドウシステム。実行中のソフトウェアにウィンドウと呼ばれる矩形の表示領域を与え、一つの画面上で複数のソフトウェアの実行状態を同時に表示させることができる。主要な構成ソフトウェアはオープンソースとして公開されている。ネットワークを通じて複数のコンピュータ間で表示・操作情報を送受信するクライアントサーバ型のシステムとなっており、ソフトウェアを実行するコンピュータと入出力を行うコンピュータを分離することができる(同じコンピュータでも構わない)。クライアントサーバ間の通信には「Xプロトコル」(X protocol)と呼ばれる独自の通信規約が用いられる。
キーボードやマウス、ディスプレイ装置など入出力装置があり、利用者が直に触れて操作する端末側で実行されるソフトウェアが「Xサーバ」(X server)である。Xサーバはネットワークを通じて別のコンピュータで動作している「Xクライアント」(X client)からの表示要求を受け付けて画面に反映し、また、利用者の当該ウィンドウ内での操作・入力情報をクライアントへ伝達する。
利用者の手元にあるのがクライアント、ネットワークを通じてアクセスするのがサーバ、という一般的なシステム構成とはサーバとクライアントの位置関係が逆転しているため注意が必要である。
Xウィンドウマネージャ (X window manager)
X Window System自身はグラフィカルユーザインターフェース(GUI)の構成に必要な操作要素のデザイン(ボタンやメニューなどの見た目)や動作、振る舞い、具体的な操作方法についての規定をあえて提供していないため、プログラム側で個別に用意する必要がある。
一般的にはこれらをまとめて提供する「ウィンドウマネージャ」(window manager)と呼ばれるソフトウェアを導入することが多く、各ウィンドウの外観や操作方法を統一することができる。著名なものだけでも10種類以上が公開されており、利用者が好みや必要に応じて選択できる利点があるが、Xベースのシステム全体として表示や操作の体系に統一性がないことが問題視されることもある。
歴史
1984年にマサチューセッツ工科大学(MIT)のAthena Widget Projectが中心となって最初のバージョンが開発された。初期に活発に改良が進められたが、1987年のバージョン11以降は全面的な刷新が行われておらず、現在ではX自体を指して「X11」と呼ぶこともある。マイナーな改良は継続しており、「X11 Release 7.7」といったようにリリース番号でソフトウェアの世代を識別している。
Xの開発はMIT内に設けられたX Consortium(Xコンソーシアム)が担ってきたが、1993年に非営利団体として独立し、1997年にはUNIX系OSの仕様の標準化を行うThe Open Groupに統合された。1999年には同団体内のプロジェクトとしてX.Orgが立ち上げられ、紆余曲折を経て2004年にX.Org Foundationとして再び非営利団体として独立した。以降は同団体が開発を指揮している。