Windows 95
概要
Windows 95とは、米マイクロソフト(Microsoft)社のパソコン向けオペレーティングシステム(OS)製品の一つ。Windowsシリーズの中で最初に一般家庭に広く普及した版で、Windowsがパソコン用OSの標準的な地位を確立するのに貢献した。1995年に発売され、わかりやすく直感的に操作できるグラフィック表示やマウス操作を多用した操作画面(GUI:Graphical User Interface)、インターネットを利用しやすいネットワーク機能、メーカーや機種と問わず同じアプリケーションが動作するソフトウェア環境などから人気を博した。
ちょうどインターネット接続が一般に開放されるタイミングに重なったこともあり、家庭に本格的にパソコンが普及する要因の一つとなった。ビジネス分野でも、構内ネットワーク(LAN)対応の改善や安価な欧米メーカー製パソコンの上陸もあり、オフィスの業務用端末で広く使われた。
Microsoft社ではその後、Windows 95を改良したWindows 98、Windows Meなどを投入する一方、業務用システム向けに基本設計の異なるWindows NTシリーズ、Windows 2000を展開していった。2001年にシステム基盤がWindows NT系に統一され、パソコン向けとしてWindows XPが登場、Windows 95を置き換えて普及した。
技術的な背景
一つ前のバージョンであるWindows 3.1まで、Windowsは同社のパソコン用16ビットOS「MS-DOS」にGUI操作画面を追加する機能拡張的な位置づけで、別途MS-DOSを購入してコンピュータに導入する必要があった。
Windows 95はMS-DOSが不要な独立したOSとして設計され、当時普及し始めた32ビットCPUの機能にフル対応した32ビットOSとなっている。アプリケーションソフトに提供する機能の呼び出し規約(API)「Win32」はその後のWindowsソフトウェアの標準APIとして広く普及した。
画面上に矩形の表示領域(ウィンドウ)を用意して複数のプログラムを並行に動作させるマルチタスクには以前から対応していたが、OS側で実行プログラムを強制的に切り替えるプリエンプティブマルチタスク方式に対応し、システムの安定性が向上した。
動画や音声を扱うためのマルチメディア機能、周辺機器を接続すると自動検出して適切なドライバソフトを導入する「プラグアンドプレイ」(PnP:Plug adn Play)、250文字までの長いファイル名(ロングファイルネーム)など利便性が向上しており、古いMS-DOSプログラムも引き続き実行できる。
それまでの日本のパソコン市場は主に日本語表示の問題から国内大手が互いに互換性のない独自仕様の機種を製造していたが、Windows 95は対応機種であれば同じようにアプリケーションソフトが動作するため仕様の標準化が進み、外資系メーカーが汎用品の調達力による低価格を武器に一気に市場シェアを獲得した。