Windows Vista
概要
Windows Vistaとは、米マイクロソフト(Microsoft)社のパソコン向けオペレーティングシステム(OS)製品、Windowsシリーズのバージョンの一つ。Windows XPの後継で、2006年に発売された。IPv6へ標準で対応し、32ビット版(x86版)と64ビット版(x64版)が並行して提供された。「マイコンピューター」(My Computer)「マイドキュメント」(My Documents)などのデスクトップ要素は「コンピューター」「ドキュメント」などに改名された。
デスクトップ画面の表示には半透明や3D(三次元)の要素を加えた「Windows Aero」が採用され、「Aeroシェイク」や「Aeroスナップ」などの新しい操作法が追加された。新しい標準日本語フォントとして「メイリオ」(Meiryo)が採用された。
セキュリティ面では、プログラムがシステム設定に変更を加える動作に利用者の明示的に許可を求める「ユーザーアカウント制御」(UAC:User Account Control)や、ウイルス対策およびパーソナルファイアウォールの「Windows Defender」が導入された。
ソフトウェア起動を高速化する「Windows SuperFetch」、システム起動を高速化する「Windows ReadyBoot」、フラッシュメモリで性能向上を図る「Windows ReadyBoost」など動作の高速化の仕組みも導入された。これらのいくつかはWindows XPなど旧版で利用できるよう単体でも提供された。
主なエディション
日本を含む主要国では、家庭・一般消費者向けの普及版「Home Basic」(ホームベーシック)、上級利用者向けの高機能版「Home Premium」(ホームプレミアム)、業務用途の普及版「Business」(ビジネス)、大企業や情報技術者向けの「Enterprise」(エンタープライズ)、最上位版「Ultimate」(アルティメット)の5つのエディションが用意された。
新興国ではこれに加えて機能を絞った低価格版「Starter」(スターター)も提供され、他に特定国・地域の規制に対応する特別なエディションなどもある。
評価と普及状況
現在のWindowsまで引き継がれる多くの機能が新たに組み込まれた重要なバージョンだったが、当時はWindows Aeroなどの一部の機能が高いグラフィックス性能を要求し、一般的な機種では動作が緩慢に感じられた点が利用者の不満を喚起した。
また、旧製品向けのハードウェアやソフトウェアの対応が遅れ互換性の問題が生じた点、UACがやたらに動作の許可を求めるダイアログを表示することに戸惑いや煩わしさを感じた利用者が多かった点、そして何より、一世代前のWindows XPの評価が高く、わざわざ乗り換えるほどの魅力を感じない人が多かったことから、売れ行きは芳しくなかった。
Windows Vista発売後はパソコン製品にプレインストール(製造時に組み込み)されて新たに販売されるWindowsはXPからVistaに切り替わったが、その後もWindows XPを求める顧客の声があまりにも強かったため、初回起動時にVistaを削除してXPに切り替える「ダウングレード権」なる制度が新たに導入されたほどであった。