コンテナ 【container】

概要

コンテナ(container)とは、入れ物、箱、容器などの意味を持つ英単語。ITの分野では何らかの入れ物のような働きをする要素や仕組みなどを比喩的にコンテナと呼ぶことが多い。

コンテナ型仮想化

コンピュータ仮想化の方式の一つで、稼働中のオペレーティングシステムOS)の一部を分離して他と隔離された専用のエリアを用意し、その上でソフトウェアを動作させる方式をコンテナ型仮想化という。隔離された領域のことをコンテナという。

仮想マシン構築は行わず、元のOS環境上に隔離されたエリアを作り、仮想的に新たなOS実行環境を作り出す。その内部で動作するソフトウェアはコンテナ外へ影響を及ぼすことはなく、またコンテナ外から干渉されることもない。

コンテナはソフトウェアからの操作により作成、編集、起動、破棄などを行うことができるため、人間がコンピュータOSを導入・設定して起動するのに比べ、簡単、迅速に特定の環境構築したり別の環境に切り替えたりすることができる。

作成したコンテナは丸ごとファイルに保存して他のコンピュータ上に移して起動することもできるため、ソフトウェア配布パッケージとして設定済みのコンテナをファイルとして提供する場合もある。利用者はこれを入手してOS上で展開するだけで設定など何もしなくてもいきなりソフトウェアを起動することができる。

データ構造のコンテナ

プログラミングの分野で、データオブジェクトなどをまとめて格納するためのデータ構造クラスなどの総称をコンテナということがある。この意味でのコンテナには配列リストスタックキューなどが含まれる。

コンテナフォーマット

音声や動画のデータ圧縮の分野で、データの格納方式のみを定めたファイルフォーマットをコンテナ(あるいはコンテナフォーマット)という。圧縮形式は複数の中から選択でき、記録・再生のためにはその形式に対応したコーデックを用意する必要がある。

コンテナ型データセンター

貨物コンテナにデータセンターとして必要な電源、空調、通信、什器などの機材(場合によってはコンピュータ自体も)をコンパクトに収納し、必要な場所に運搬して利用する形態をコンテナ型データセンターdata center container)という。この用法では比喩ではなく物理的なコンテナを指す。

(2019.4.20更新)

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この記事の著者 : (株)インセプト IT用語辞典 e-Words 編集部
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