読み方 : エスユーアイディー
SUID【setuid】Set User ID
概要

通常、プログラムは実行した利用者自身の権限で動作する。しかし、SUIDが設定された実行ファイルでは、この原則の例外として、ファイル所有者の権限が一時的に適用される。所有者がrootユーザー(管理者)であれば、一般ユーザーが実行しても管理者権限でプログラムが処理を行う。
代表的な用途がpasswdコマンドである。利用者が自身のパスワードを変更する際、管理者しか書き込めないパスワードファイルを更新する必要がある。passwdコマンドにはSUIDが設定されており、所有者がrootであるため、一般利用者が実行しても必要な範囲だけ管理者権限で処理が行われる。
SUIDの設定はchmodコマンドで行う。数値表記では通常のパーミッション値に4000を加え、文字表記では「u+s」と指定する。解除するには4000を減算するか「u-s」を指定すればよい。「ls -l」コマンドでファイル情報を確認すると、SUIDが有効な場合、所有者の実行権限の欄が「x」ではなく「s」と表示される(例:rwsr-xr-x)。
セキュリティ上のリスクもあり、SUID付きのプログラムに脆弱性が存在すると、一般ユーザーが本来許可されていない権限を取得できる状態になりかねない。このため、不要なプログラムへの設定を避けること、findコマンドで定期的にSUID付きファイルを洗い出して管理することが基本とされている。
近年のLinux環境では、細かな権限だけを付与できる「ケイパビリティ」(capability)機能や、特定のコマンド実行のみを管理者権限で行うsudoコマンドなど、SUIDに依存しない権限制御方式も利用されている。なお、グループ権限で同様の制御を行う仕組みとして「SGID」(Set Group ID)がある。
(2026.5.23更新)