WSH 【Windows Script Host】 CScript / WScript
概要
WSH(Windows Script Host)とは、Windows上で簡易なコンピュータプログラムであるスクリプトを実行できるようにするソフトウェア。米マイクロソフト(Microsoft)社が無償配布およびWindowsに標準添付していた。スクリプトは利用者がテキスト(文字)形式で記述・保存したプログラムファイルを言語処理系が読み込んで即座に解釈・実行できるようにしたもので、システム管理やデータ解析などのためにちょっとした処理が必要な場合や、定型的な作業を自動化するのによく用いられる。
Windowsでは従来から複数のコマンドやプログラムの実行をテキストファイルに記録してまとめて実行することができるバッチファイル(.batファイル)の仕組みがあったが、制御構文などが乏しく本格的なプログラムを実行するには非力だった。
WSHでは、Webブラウザなどに実装されていたJavaScript(ジャバスクリプト)のMicrosoft社独自実装である「JScript」(ジェイスクリプト)と、同社のWindows向け開発言語のVisual Basic(ビジュアルベーシック)の簡易版である「VBScript」(ブイビースクリプト)の二つのプログラミング言語(スクリプト言語)が標準で利用できる。
実行ファイルとしてCScript.exeとWScript.exeが用意されており、前者はコマンドラインから起動するコンソールアプリケーション用、後者はGUIから起動するウィンドウアプリケーション用となっている。これらは標準の入出力が異なる以外の仕様は共通している。
両言語とも通常のプログラミング言語に劣らない制御構文や変数、関数などの仕組みが用意されており、また、WSH独自の拡張としてファイル入出力などの機能、およびコマンド実行やレジストリ操作などOSの機能の呼び出しが提供されている。これにより、バッチファイルでは難しかった高度な処理や複雑なプログラム実行の制御などが可能になる一方、テキストファイルに数行の命令文を書くだけですぐに実行できる手軽さはそのまま引き継がれている。
WSHはWindows 98から提供され、Windows標準のプログラム実行環境の一つとして内蔵されたが、Windows Vistaからは新たに開発されたコマンドラインインターフェースおよびスクリプト実行環境である「Windows PowerShell」が標準となり、同時期からWSHは更新されなくなった。