DOS/V 【Disk Operating System/V】 PC DOS/V / MS-DOS/V / IBM DOS/V
概要
DOS/V(Disk Operating System/V)とは、米IBM社および米マイクロソフト(Microsoft)社のパソコン向けオペレーティングシステム(OS)製品の一つで、両社の英語版DOS(Disk Operating System)に日本語文字を扱う機能を追加したもの。1990年に最初のバージョンが発売された。日本でPC/AT互換機が普及するきっかけとなった。IBM社版は同社のパソコン製品に同梱される「PC DOS/V」あるいは「IBM DOS/V」とも呼ばれる製品で、Microsoft社版は主にIBM社以外のパソコン製品(PC/AT互換機)向けに提供され、「MS-DOS/V」とも呼ばれる。
もともとMicrosoft社がIBM社向けに開発していた「PC DOS」を自社ブランドでIBM互換製品向けに販売し始めたのが「MS-DOS」であるため、両社のDOS/Vもほぼ同じ製品だが、一部の仕様が異なっている。
1980年代まで、パソコンで日本語の文字を表示するには漢字ROMなど専用の装置をコンピュータに組み込んで利用するのが一般的で、世界で業界標準として広く普及し始めていたIBM社製パソコンや他社の互換製品(いわゆるPC/AT互換機)はそのままでは日本語が扱えず、日本国内ではほとんど普及していなかった。
DOS/Vは専用のハードウェアを必要とせず、ソフトウェアのみで日本語を処理するようになっており、専用の装置を用いる方式に比べ処理速度などは劣るが、海外で製造・流通しているパソコン製品をそのまま日本語対応とすることができた。
DOS/Vで動作するPC/AT互換機は「DOS/Vパソコン」「DOS/Vマシン」と呼ばれ、IBM社のパソコン製品や安価な海外メーカーのPC/AT互換機が国内で普及するきっかけとなった。その後、Microsoft社のMS-DOS後継のOS製品「Windows」がパソコン向けOSの標準となったこともあり、1990年代を通じて日本のパソコンメーカーも独自仕様を捨てて次々とPC/AT規格に切り替え、日本でもPC/AT互換機が標準となっていった。
(2024.1.12更新)