FAT 【File Allocation Table】 FATファイルシステム
概要
FAT(File Allocation Table)とは、米マイクロソフト(Microsoft)社のWindowsシリーズが標準で対応しているファイルシステムの一つ。前身のMS-DOSから使われてきた初期の仕様であるFAT12あるいはFAT16を指す場合と、後に登場したFAT32、exFATなども加えた総称を表す場合がある。当初はストレージ内でファイルやディレクトリについての情報を記録する特殊なシステム領域の名称だったが、次第にこれを利用して構築されるFATファイルシステムのことを略して単にFATと呼ぶようになった。
FAT系のファイルシステムは仕様が公開されており、管理領域の容量が小さくシンプルなプログラムで高速に読み書きできるなどの特徴がある。Windows自体の標準ファイルシステムはWindows NT系列の製品に由来するNTFSとなって久しいが、現在でも機種やOSをまたいでデータのやり取りをするリムーバブルメディア(USBメモリなど)や、小型の電子機器などで使われるストレージ装置(メモリーカードなど)で根強く使われている。
一方、アクセス権の設定や暗号化などのセキュリティ機能がないことや、大容量の装置では非効率、ファイルやディレクトリの記録日時(タイムスタンプ)がシステムに設定されたタイムゾーンにしか対応していないなどの難点もあり、ハードディスクやSSDなどコンピュータの内蔵ストレージのファイルシステムに用いられることは現在ではほとんどない。
FAT12
1977年に開発された最初の仕様で、同社の「Disk BASIC」の標準ファイルシステムだった。FAT12はクラスタ数の指定に12ビットの整数を用いたことに由来して後から付けられた名称で、当時は単に「FAT」と呼ばれていた。
最大クラスタ数は4,084個、クラスタサイズは512バイト~32KiB(キビバイト)で、最大ボリュームサイズは32MiB(メビバイト)、ファイル数は4,077個まで。標準ではファイル名はいわゆる「8.3形式」(ファイル名本体8バイトまで+拡張子3バイトまで)だが、VFATを適用することで255文字までの「ロングファイルネーム」(LFN)に対応する。