Windows 11
概要
Windows 11とは、米マイクロソフト(Microsoft)社の小型コンピュータ向けオペレーティングシステム(OS)製品の一つ。パソコンやタブレット端末、組み込みシステム(Windows 11 IoT Enterprise)で利用できる、同社のWindows 10の後継製品で、2021年10月に発売された。Windows 10の利用者には無償アップグレード期間が設けられたが、システム要件が厳しくなっているため、比較的古い機種でWindows 10を使用していた利用者は買い替えを余儀なくされた。
32ビットCPUへの対応は廃止され、64ビット版(x86-64/x64)のみの提供となった。古いBIOSのサポートも打ち切られ、セキュアブートやTPM 2.0といったセキュリティ仕様に準拠したUEFIを内蔵する機種にのみ導入できる。
操作感
Windows 10までの操作画面からいくつかの点が大きく見直された。スタートメニューからライブタイルが廃止され、アイコン表示のみとなった。ウィンドウは角丸となり、半透明や影などの画像効果(エフェクト)が多用されている。同社ではこのデザイン体系を「Fluent Design」と称している。
タスクバーは要素がデフォルトで中央寄りに表示されるようになり、Windows 10に引き続いてスタートメニューと実行中のアプリケーションアイコン、「ピン留め」されたアプリケーションのアイコン、Web検索エンジンのbingを統合した検索フォーム、タスクトレイなどが表示される。
複数のウィンドウを持つタスクバーアイコンが強制的に結合されタスクバーから直接ウィンドウを開けない、時計の秒表示が廃止されるなど、利便性を大きく損なう改変も行われたが、これらの機能はアップデートにより復活している。
機能の改廃
標準で内蔵されるWebブラウザから「Internet Explorer」が廃止され、「Microsoft Edge」に一本化された。「Windows Subsystem for Android」を導入すればAndroidアプリケーションを実行することができ、Microsoft Store内でもAndroidアプリが提供されている。
ビデオ会議や共同作業ができる「Microsoft Teams」、RPA(Robotic Process Automation)ツールの「Power Automate Desktop」など、同社が単体で提供してきたアプリケーションのいくつかが新たに同梱された。
エディション
従来のWindowsと同じように、一般向けには家庭向けの「Home」エディション、ビジネス向けの「Pro」エディション、パワーユーザー向けの「Pro for Workstation」が提供される。企業や官公庁などの法人向けには「Enterprise」エディションが提供され、教育機関向けに「Education」「Pro Education」が用意されている。
Homeでは、ProやEnterpriseに用意されている企業向けの機能(仮想化関連や暗号化関連など)や、Windows ServerやActive Directoryで運用される企業内ネットワークに参加する機能などが削除されている。Educationの機能はEnterpriseにほぼ準じるが、学校や大学など教育機関にしか販売されない。
パソコン以外の機器向けでは、情報家電などの組み込み機器専用のエディションとして「IoT Enterprise」が用意されるが、Windows 10まで用意されていた「Windows 10 Mobile」のようなスマートフォンやモバイル機器向けのエディションは用意されていない。