ワークステーション 【workstation】 WS
概要
ワークステーション(workstation)とは、業務用の高性能な個人用コンピュータのこと。大型コンピュータのように複数人で共用せず、利用者の作業場所に固定的に設置して一人が一台を専有して使用するような業務用コンピュータを意味する。科学技術計算や設計・製図、コンピュータグラフィックス(CG)の製作などのために用いられることが多く、原則として法人ユーザー向けに販売される。ほとんどの機種は箱型の筐体にキーボードやマウスなどの入力装置、液晶ディスプレイなどの出力装置を接続する形態となっており、見た目はデスクトップ型やタワー型のパソコンとほとんど変わらない。
一般的なパソコンに比べると高性能・高機能・高価格で、用途に応じて特殊な装置や専用のオペレーティングシステム(OS)、アプリケーションソフトなどを内蔵していることが多い。かつては専業のメーカーもあり、それぞれ独自仕様のハードウェアやソフトウェアを提供していた。
2000年代以降は次第にパソコン系の製品と共通仕様の装置やソフトウェアが主流となり、単にパソコンの高級機種(ハイエンドPC)や特定の目的に特化したパソコン製品のことをワークステーションと呼ぶことが増えている。また、機種や性能など技術的な詳細は問わず、サーバと対比して利用者が直接操作するコンピュータを指してワークステーションということもある。
エンジニアリングワークステーション (EWS:Engineering Workstation)
科学技術計算や数値シミュレーション、CAD/CAMなどによる建築物や工業製品の設計、画像処理、印刷物の組版など技術的な用途のために用いられるものを「エンジニアリングワークステーション」(EWS)という。
最も主流の製品カテゴリーで、主に大学や企業の研究所などで研究・開発や技術的な業務のために導入された。1990年代まではコンピュータメーカーが自社製品向けに開発したUNIX系OS(商用UNIX)を搭載する機種が一般的だったため、「UNIXワークステーション」とも呼ばれた。
グラフィックスワークステーション (GWS:Graphics Workstation)
コンピュータグラフィックスの製作・編集などの用途に特化した製品は「グラフィックスワークステーション」(GWS)とも呼ばれる。その時代の最も高性能なGPU(Graphics Processing Unit)や大容量のメインメモリなどを内蔵し、3次元グラフィックス(3DCG)などに必要な大量の計算を高速に処理することができる。
主な用途はや3DCGを多用するゲーム開発やCGアニメーション映像の製作などだが、科学研究や工業製品の開発などで、部品の3Dモデルの設計やシミュレーション結果の可視化といったエンジニアリング用途で使われることもある。