ドライブレター 【drive letter】 ドライブ文字 / ドライブ名 / ドライブ番号
概要
ドライブレター(drive letter)とは、WindowsやMS-DOSで、ドライブ装置やストレージ、その内部を区切ったパーティションなどを識別・指定するために与えられる一文字のアルファベット。フルパス(絶対パス)の先頭に「C:」のようにコロン(:)で区切って表記する。コンピュータに内蔵あるいは接続されたハードディスク(HDD)やSSD、光学ドライブなどにAからZのアルファベットの中からそれぞれ固有の文字が与えられ、その装置の識別子として用いられる。ハードディスクなどの内部が複数の独立した領域(パーティション/ボリューム)に分かれている場合は、それぞれに対して異なる文字が与えられる。
ドライブレターはシステムが装置を認識する際に自動的に空いているものを割り当てるが、Windowsの「コンピューターの管理」などの管理ツールを用いて利用者が変更することもできる。
自動割当は「C:」から順に連続した文字が当てられるが、変更する際は空いている好きな文字を選択できるため、光学ドライブやRAMディスクなどを「Q:」や「Z:」など通常は自動割当が行われない(そんなにたくさんの装置を接続することはほとんどない)文字に変更して固定するといった設定を好む利用者もいる。
歴史
1970年代の個人用コンピュータ(当時は日本ではマイコンと呼ばれることが多かった)で人気の高かった米デジタルリサーチ(Digital Research)社の「CP/M」が採用した仕組みで、米マイクロソフト(Microsoft)社がPC DOS(MS-DOS)を開発する過程で同じ仕組みが導入され、後継のWindowsにも受け継がれた。
1980年代の初期のPC/AT互換機にはフロッピーディスクドライブ(FDD)が2台内蔵され、ハードディスクはオプションとする構成が一般的だったため、1台目のFDDが「A:」(Aドライブ)、2台目が「B:」(Bドライブ)、内蔵HDDが「C:」(Cドライブ)、外付けHDDやCD-ROMドライブ、MOドライブなどが「D:」(Dドライブ)といった順に文字が割り当てられることが多かった。
FDDが一般的な機種に搭載されなくなる頃には内蔵ハードディスクをOSの起動ドライブとする構成が一般的となっていたが、「A:」「B:」がFDDであることを前提としたり、起動ドライブが「C:」であることを前提としたソフトウェアや設定ファイルなどが多く存在したことなどから、以降も先頭のドライブレターを「C:」とする慣習が残った。
これは公式な仕様や規格ではないため、例えばNECのPC-9821シリーズではFDDを搭載しないモデルの内蔵ハードディスクは「A:」ドライブとなっていた。