RHEL 【Red Hat Enterprise Linux】
概要
RHEL(Red Hat Enterprise Linux)とは、米IBM社傘下のレッドハット(Red Hat)社が開発・提供している法人向けの商用Linuxディストリビューション。インターネット上のサーバなどでよく利用される。オペレーティングシステム(OS)のLinuxは、中核となるLinuxカーネルに様々なソフトウェアを付け加えた「Linuxディストリビューション」という配布パッケージの形で配布される。Red Hat社が開発・販売しているディストリビューション製品がRHELである。
ソースコードは同社サイトで公開されており、無償で入手・利用することができるが、バイナリ版の入手やサポート、各種サービスは月額課金制(サブスクリプション)の有償となっている。契約期間中は追加料金無しで更新版や最新版の提供を受けられる。
Linuxシステムの多くが稼働するx86系およびx86-64(x64)系CPUだけでなく、携帯端末などで有力なARM系CPUにも対応する。Red Hat社のIBM社による買収後は、IBM社の「Power Systems」シリーズや、「IBM Z」シリーズのメインフレームなどもサポートする。
企業が事業として開発・提供するLinuxディストリビューションの草分け的な存在で、信頼と実績から業務用途で高いシェアを獲得・維持している。ビジネス向けソフトウェアの多くはLinuxの想定環境としてRHELへの対応をうたっている。
RPM(Red Hat Package Manager)など他のディストリビューションでも標準的に用いられる独自のツールや仕様もある。CentOSやWhite Box Enterprise Linuxなど、RHEL互換をうたう個人向けのディストリビューションもあり、パッケージ管理システムにRPMを採用するディストリビューションは「RPM系」と呼ばれる。
Red Hat LinuxとFedora
同社はもともと個人用途でも人気の高かった「Red Hat Linux」(RHL)というディストリビューションを開発・配布していた。2003年に業務用途向けのRHELへ注力する方針になり、従来のRHLに相当する系列は同社から切り離された。
旧RHLの開発を引き継いだのはオープンソース開発者らが新たに設立したFedora Projectという非営利団体で、後継として「Fedora Core」を公開した。これは現在は「Fedora」に改名され、開発・提供が続いている。