デジタルトランスフォーメーション 【digital transformation】 DX
概要
デジタルトランスフォーメーション(digital transformation)とは、企業や行政などの組織や活動、あるいは社会の仕組みや在り方、人々の暮らしなどがデジタル技術の導入と浸透により根本的に変革すること。従来型の「デジタル化」と違い、デジタルを前提として既存の仕組みを根本的に作り変えることを指す。1950年代の商用コンピュータの発売以来、情報の蓄積や処理、伝送のデジタル化(digitization)が進められ、さらに1990年代以降の個人用コンピュータやインターネットの普及を通じて経済や社会、暮らしのデジタル化(digitalization)が進んできた。
こうした従前のデジタル化は既存の組織や仕組み、やり方といったものを前提に、コンピュータや通信ネットワークを導入してより効率的に物事を行うのが主眼であった。例えば、企業が会計業務にコンピュータを導入し、より少人数で短期間に会計事務を遂行するといった具合である。
デジタルトランスフォーメーションはこれを更に推し進め、デジタル技術の存在を前提として、既存の組織や仕組み、手順、モノや情報の流れといったものを根本的に変革することを意味する。例えば、企業であれば業務の効率化や省力化を超えて、事業や商流の在り方そのもの、また、業務の流れ、組織や人材などを「デジタルに合わせて」根本的に組み替える改革をデジタルトランスフォーメーションという。
ビジネスの文脈で取り上げられることが多いが、デジタルを前提とする根本的な変革は企業や経済活動だけでなく、公的機関や法制度、個人の行動や生活、社会全体の様々な側面に及び得る。
“digital transformation” という用語は2004年にスウェーデン・ウメオ大学のエリック・ストルターマン教授(当時)らが発表した “Information Technology and the Good Life” という短い論文が初出とされる。“transformation” を “X” と略すのは日本人には馴染みにくいが、英語では接頭辞の “trans-” と “cross-” は多くの場合に可換であると考えられており、“trans-” の略字として “x-” を用いることがある(例:transfer→xfer)。