シンクライアント 【thin client】 シンクラ
概要
シンクライアント(thin client)とは、企業や官庁などの情報システムで、利用者が操作するコンピュータ(クライアント)に最低限の機能しか持たせず、サーバコンピュータが集中的にソフトウェアやデータなどの資源を管理する方式。また、そのような機能を絞った低価格のクライアント専用機器。オフィスにパソコンが普及し業務に使われるようになったが、一般的なパソコン製品は一台ごとに独立にアプリケーションソフトやストレージを持つため、ソフトウェアの導入や更新、ファイルなどのデータの共有や管理などが煩雑で、従業員の数だけフル機能の(高価な)コンピュータを用意しなければならないという難点があった。
そこで、ソフトウェアやデータの管理は構内ネットワーク(LAN)上のサーバで集中的に行い、各従業員にはサーバに接続して操作するための最低限の機能のみを持った低価格の専用端末を配備するという手法が提唱された。このような手法や、そのために用いられる単体では機能しない操作用コンピュータをシンクライアントと呼ぶ。
シンクライアント端末は画面やキーボード、マウスなどの入出力装置・機能と、イーサネット(Ethernet)やWi-Fiなどのネットワーク・通信機能、シンプルなオペレーティングシステム(OS)などで構成される。アプリケーションの追加やシステム構成の変更はできないようになっていることが多い。
起動すると利用者の識別や認証を行い、リモートデスクトップ(仮想デスクトップ)などを用いてサーバ上に展開されたその利用者用の操作画面を呼び出してサーバ内のソフトウェアやデータを使用することができる。パソコンのように単体で起動してもできることはほとんど(あるいはまったく)ない。
一般的なシンクライアント製品はCPUや小容量のローカルストレージ、その中に記録された機能制限版のパソコン向けOSなどを備え、低価格パソコンのような構成となっていることが多いが、情報の処理・保存機能を一切持たず、表示・操作・通信の機能のみを持ったものものあり、「ゼロクライアント」(zero client)と呼ばれる。
(2020.6.8更新)