バックキャスティング【backcasting】
概要
バックキャスティングとは、将来に実現したい目標や理想の状態を先に設定し、そこから逆算して現在すべき行動や手順を導き出す計画立案の手法。企業の長期戦略の策定や、環境、エネルギー、人口問題など長期的な取り組みを要する社会課題への対処において用いられる。

一般に、未来を考える際によく行われるのは「フォアキャスティング」(forecasting:将来予測)で、現在の状況や過去の実績を出発点として将来を予測し、その延長線上で計画を立てる。バックキャスティングはこれとは逆に、望ましい未来を起点として現在へ向かって検討を進める。
手順としては、まず具体的な将来像とその期限を定める。次に、その時点の状態を実現するために直前の段階で何が達成されていなければならないかを逆算し、マイルストーンを時系列をさかのぼる形で配置していく。最後に、それらを現在の状況に接続して行動計画とする。
この手法は、1982年にカナダのウォータールー大学のジョン・ロビンソン(John B. Robinson)によって提唱された。フォアキャスティングが現状の延長線上での予測に向いている一方、バックキャスティングは既存の制約にとらわれない発想を引き出しやすいため、抜本的な改革や構造転換を要する課題に適している。現代では企業経営におけるDX推進、公共分野におけるサステナビリティやSDGsへの取り組みなどで採用されることが多い。
課題としては、出発点となる将来像の設定の難しさがある。目標が現実から乖離すると計画の実効性が低下し、途中のマイルストーンが適切でなければ実行段階での指針を失う。将来の社会情勢や技術動向には不確実性が伴うため、定期的な見直しが求められる。実際の運用ではフォアキャスティングと組み合わせ、双方向で計画を検証しながら進めることが多い。
(2026.6.4更新)
関連用語
他の辞典等による「バックキャスティング」の解説 (外部サイト)
資格試験などの「バックキャスティング」の出題履歴
▼ ITパスポート試験
【令6 問3】 未来のある時点に目標を設定し、そこを起点に現在を振り返り、目標実現のために現在すべきことを考える方法を表す用語として、最も適切なものはどれか。