水平分散システム【horizontal distribution】水平負荷分散システム/水平機能分散システム
概要

水平分散システムのうち、同等の機能や構成を持つ機器を複数用意し、それらの間で処理の負荷を分散する方式を「水平負荷分散システム」という。Webシステムにおいて、ロードバランサが多数の同等なWebサーバへアクセスを振り分ける構成などが該当する。処理量の増大に応じて同種のサーバを追加することでシステム全体の処理能力を柔軟に拡張でき、一部の機器が停止しても残りの機器で処理を継続できるため、可用性の確保にも有効である。
一方、順序関係や依存関係のない異なる機能を専用の機器にそれぞれ割り当て、処理を分担する方式を「水平機能分散システム」という。企業内ネットワークにおいて、ファイルサーバ、プリントサーバ、メールサーバなど用途ごとに専用サーバを設ける構成が当てはまる。各システムが担当する機能は異なるが、処理の順序関係や主従関係はなく、同じ階層のシステムとして運用される。
これに対し、処理の前後関係や主従関係に基づいて機能を分割し、それぞれを担当する機器が連携して処理する方式を「垂直分散システム」(垂直機能分散システム)という。利用者が操作するクライアントとデータやサービスを提供するサーバに役割を分けたクライアントサーバシステムや、Webサーバ・アプリケーションサーバ・データベースサーバを直列に組み合わせた3層システムなどがこれに当たる。垂直分散では特定の階層がボトルネックになりやすいのに対し、水平分散は個々の機器を独立して増減させやすい。
近年の大規模なWebサービスやクラウド環境では、需要の増加に応じて機器を追加しやすいことから、水平負荷分散を中心とした水平分散システムが多く採用されている。また、システム全体を機能ごとに独立したサービスへ分割する「マイクロサービスアーキテクチャ」においても、水平機能分散の考え方が活用されている。