読み方 : きょうつうフレーム

共通フレーム 【SLCP-JCF】 Software Life Cycle Process Japan Common Frame

概要

共通フレーム(SLCP-JCF)とは、情報処理推進機構(IPA)が発行しているソフトウェア取引に関するガイドラインで、ソフトウェアの構想・設計から開発、導入、運用、保守、破棄に到るまでの各工程について、個々の作業内容、用語の意味などの標準的なモデルを示したもの。

解説 情報システムやソフトウェアの開発や運用を委託する際、発注者と受注者の間で用語や作業工程、業務や役割の分担や範囲、契約上の権利・義務などを巡って理解や解釈の齟齬が生じないよう、各工程の内容について共通の枠組みを示している。

実際の作業手順を具体的に定めたものではなく、顧客側とベンダー側でそれぞれ持っている独自の開発方法、プロセスを共通フレームに対応させ、お互いの役割を把握し、共通認識として相互理解するためのものである。

発注者と受注者が共通フレームに基いて交渉や契約を進めることで、工程の把握や、費用や期間の見積もり、品質管理などにおける相互の認識のずれによるトラブルの発生防止、共同作業による作業効率の向上などが期待される。

共通フレーム94 (SLCP-JCF94)

最初の版は1994年3月に策定された「ソフトウェアを中心としたシステムの取引に関する共通フレーム」(共通フレーム94/SLCP-JCF94)で、ISO/IECで審議中だったSLCPに関する標準規格ISO/IEC 12207の内容を先取りする形で策定された。

共通フレーム98 (SLCP-JCF98)

1998年10月には「ソフトウェアを中心としたシステム開発および取引のための共通フレーム 1998年版」(SLCP-JCF98、共通フレーム98)が策定された。これは1995年に正式に標準となったISO/IEC 12207や、これを日本語化したJIS X 0160:1996をベースに改訂されたものである。

共通フレーム2007 (SLCP-JCF2007)

2007年10月には「共通フレーム2007」(SLCP-JCF2007)が発行された。これには2002年と2004年に発行されたISO/IEC 12207の改訂版の内容が反映されている。2009年9月にはその改訂版である「共通フレーム2007第2版」が発行された。

インターネット・Web関連など新しいソフトウェア技術への対応や、開発の前段階の企画プロセス(いわゆる「超上流」工程)の強化と要件定義プロセスの新設、経営層や業務部門の役割の明確化、プロジェクト進行途上での契約変更に関するプロセスの定義などが盛りこまれている。

共通フレーム2013 (SLCP-JCF2013)

2013年3月には「共通フレーム2013」(SLCP-JCF2013)が発行された。これは国際標準のISO/IEC 12207:2008(2008年改訂版)およびこれを国内規格化したJIS X 0160:2012(2012年改訂版)を元にしている。

品質管理や意思決定、リスク管理などいくつかのプロセスについての規定が追加されたほか、一部のプロセスの名称変更などが行われた。従来はソフトウェア開発のみが対象だったが、ハードウェアを含むシステム開発全体を取り扱うことが明示された。システム導入後の運用、サービス提供についても独立したプロセスとして重視されるようになった。

(2022.6.10更新)

他の用語辞典による「共通フレーム」の解説 (外部サイト)

資格試験などの「共通フレーム」の出題履歴

▼ ITパスポート試験
令1秋 問39】 共通フレームの定義に含まれているものとして、適切なものはどれか。
平29秋 問41】 共通フレーム(Software Life Cycle Process)の利用に関する説明のうち、適切なものはどれか。
平28秋 問45】 共通フレーム(Software Life Cycle Process)で定義されている内容として、最も適切なものはどれか。
平25春 問40】 システム開発における共通フレームの目的として、適切なものはどれか。

▼ 基本情報技術者試験
平29修7 問65】 共通フレーム2013によれば,要件定義プロセスの活動内容には,利害関係者の識別,要件の識別,要件の評価,要件の合意などがある。
平27修12 問66】 共通フレームによれば,要件定義プロセスの活動内容には,利害関係者の識別,要件の識別,要件の評価,要件の合意などがある。このうち,要件の識別において実施する作業はどれか。
平27秋 問50】 共通フレームのプロセスのうち,成果物が利用者の視点から意図された正しいものになっているかどうかを確認するプロセスはどれか。
平26秋 問66】 共通フレーム2013によれば,要件定義プロセスの活動内容には,利害関係者の識別,要件の識別,要件の評価,要件の合意などがある。
平24修7 問66】 共通フレーム2007によれば,要件定義プロセスで行うべき作業はどれか。
平22修7 問65】 共通フレーム2007によれば,要件定義プロセスで行うべき作業はどれか。
平22修1 問62】 共通フレーム2007によれば,取得プロセスの目的はどれか。
平21秋 問67】 共通フレーム2007によれば,非機能要件に該当するものはどれか。
平21修6 問66】 共通フレーム2007によれば,要件定義プロセスで行うべき作業はどれか。
平21春 問65】 共通フレーム2007によれば,システム化計画を立案するときに考慮すべき事項はどれか。
平21春 問66】 共通フレーム2007によれば,企画プロセスの目的はどれか。