データレスPC

概要

データレスPCとは、利用者が作成・編集するデータを内部のストレージに保存しないよう設定されたパソコン。手元の環境にはソフトウェアのみを内蔵し、データはすべてクラウド上に保管する。横河レンタ・リースの商品で、「データレスPC」は同社の登録商標である。

Windowsやオフィスソフトなど、業務で用いる一般的なオペレーティングシステム(OS)やアプリケーションソフトが導入されているが、ファイルなどのデータをハードディスクやSSD、USBメモリなどローカルのストレージ装置には保管できない設定になっている。

利用者はソフトウェアを起動して、クラウド上のストレージサービスからファイルなどを読み込んで編集し、保存や複製などもすべてクラウド上で行う。メモリ上にはデータは展開されるが、アプリケーションの終了やOSのシャットダウンによってデータは消去される。

企業などが従業員に貸与し、出先や自宅などで使用するノートパソコンなど携帯型の端末でよく用いられる方式で、機器が紛失や盗難にあっても重要なデータの漏洩を防ぐことができる。データ管理のための専用ソフトウェアの導入と、データ保管用のクラウドサービスの契約が必要となる。

端末内にデータを残さない運用方式としては、VDI/DaaSのようにシンクライアント仮想デスクトップを組み合わせ、ソフトウェアをすべてサーバ側で動作させて端末は画面や音声の出力と操作の入力のみを行う方式がある。

データレスPCは仮想デスクトップ方式に比べ、ソフトウェアは手元の端末で直接動かすため場所を選ばず使用でき、操作感も軽快である。通信が途絶するとデータの読み書きができなくなる点は同じだが、データを用いない範囲でソフトウェアの機能を利用することはできる。

(2022.3.10更新)
この記事の著者 : (株)インセプト IT用語辞典 e-Words 編集部
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