ワープロ 【word processor】 ワードプロセッサ

概要

ワープロ(word processor)とは、文書作成専用のコンピュータキーボードディスプレイプリンタ外部記憶装置などを備えた一体型コンピュータで、文書を作成、編集、保存、印刷することに特化したコンピュータである。

現代では単にワープロといった場合は汎用コンピュータ製品のオペレーティングシステムOS)上で動作するアプリケーションソフトとしての文書作成ソフトウェアを指し、機器としてのワープロは「ワープロ専用機」(word processor appliance)と呼ぶのが一般的である。

欧米には文書作成機器としてタイプライターが19世紀から使われていたが、日本では日本語の壁に阻まれ、そのような機械の開発は無理と考えられていた。しかし、コンピュータの力を借りて、文書作成機械、今日のワープロ専用機の開発に成功した。

最初のワープロ専用機は東芝が1978年10月に発売した「JW-10」(TOSWORD)である。これは事務机のような形態・サイズのコンピュータで、ハードディスクフロッピーディスクドライブを内蔵した本体、CRTディスプレイキーボード、印刷装置などからなる。発売の年に制定されたJIS漢字コード第1・2水準の6802字の入力・表示に対応し、当時としては完成度が高かった。

初期のワープロ専用機は文字入力、簡単な表組み機能を備えたものに過ぎなかったが、高機能化が進むにつれ表計算機能や図表作成機能などの高度なソフトウェアが搭載されたり、イメージスキャナタッチペン入力など新しい入出力機器が内蔵されるようになっていった。

インターネットの普及が始まると、モデムを内蔵し、Webブラウザ電子メールソフトHTML文書作成機能などを持つものも現れた。初期の機種は各社間でファイルフォーマットが異なるなど融通を欠いていたが、ワープロ文書のプレーンテキストへの変換機能、各社間のワープロ文書の相互変換機能などが準備された。

1980年代には電機メーカー各社がワープロ専用機を発売し、一家に一台普及するのではないかと言われるほど活況を呈した。富士通の「OASYS」シリーズなど、根強いファンを持つ名機も登場した。しかし、1990年代後半のパソコンの低価格化と普及率の上昇、パソコン向けワープロソフトの高機能化などに押され、現在では新規の開発・販売などはわれておらず歴史上の存在となっている。

(2019.12.17更新)

他の辞典による解説 (外部サイト)

この記事を参照している文書など (外部サイト)

  • 香川大学 創造工学部 入学試験問題「小論文外部リンク」(PDFファイル)注釈に引用 (2018年2月)
この記事の著者 : (株)インセプト IT用語辞典 e-Words 編集部
1997年8月より「IT用語辞典 e-Words」を執筆・編集しています。累計公開記事数は1万ページ以上、累計サイト訪問者数は1億人以上です。学術論文や官公庁の資料などへも多数の記事が引用・参照されています。
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