リーンスタートアップ 【lean startup】
概要
リーンスタートアップ(lean startup)とは、起業の方法論の一つで、初期に資金や期間をあまりかけずに最低限の製品やサービスを市場投入し、顧客や市場の反応を見ながら改善を繰り返していく手法。米国ではシリコンバレーのITベンチャーのように活発に起業が行われるが、一定以上の規模に成長できる企業は限られおり、成功率は極めて低い。新興起業が少しでも生き延び、事業を成功させるための新しい方法論としてリーンスタートアップが提唱された。
基本的な活動として、アイデアや仮説に基づく製品やサービス(の試作品)の「構築」(build)、これを顧客や市場へ提供し反応や結果を得る「測定」(measure)、得られたデータに基づく「学習」(learn)の3つの過程からなるサイクルを迅速に繰り返すことを目指す。
最初から製品の完成度を追求せずに、アイデアや仮説の有用性を実証するのに必要最低限の試作品(プロトタイプ)を投入する。これを「MVP」(Minimum Viable Product)という。製品は市場投入後に得られたデータに基づいて漸進的な改善を繰り返し、徐々に完成度を高めていく。
製品の仕様や機能を思い込みや思い入れで決めることは極力避け、細部が異なる複数のバージョンを同時に提供して顧客の反応を比較する「スプリットテスト」あるいは「A/Bテスト」を活用する。製品のコンセプトが市場に受け入れられない場合は大胆な方向転換(ピボット)もためらうべきではないとされる。
米起業家のエリック・リース(Eric Ries)氏が同名の著書 “The Lean Startup” で提唱した方法論で、日本でも2012年に訳書が邦題「リーン・スタートアップ」として刊行されている。氏は自身の起業体験から得た教訓が、欧米で「リーン生産方式」(lean manufacturing)として紹介されているトヨタ生産方式の発想に似ていることに気付き、“lean” の語を用いたとしている。
(2023.9.5更新)