SAP R/3
概要
SAP R/3とは、独SAP社がかつて販売していたのERPパッケージ製品。企業の経営資源を有効に活用するために業務を全社で統合的に管理するためのソフトウェアのパッケージで、主に大企業の基幹システムで導入された。世界的に最も普及したERP製品の一つとして知られる。クライアントサーバ型のシステム構成となっており、UNIX系システムやWindowsなど様々な環境が混在するオープンシステムで動作させることができる。SAP R/3の機能は基盤的なものを除いて業務や業種ごとにモジュール(部品)化されており、必要なものを組み合わせて自社の業務に合ったシステムを構築するようになっている。
主なモジュールとしては「FI」(Financial Accounting:財務会計)、「SD」(Sales and Distribution:販売管理)、「HR」(Human Resources:人事管理)、「MM」(Material Management:購買・在庫)、「PP」(Production Planning and Control:生産管理)、「QM」(Quality Management:品質管理)、「PS」(Project System:プロジェクト管理)、業種固有の機能をまとめたモジュール群の「IS」(Industry Solutions)などがある。
追加のソフトウェアを独自に開発・導入することができる「ABAP」(Advanced Business Application Programming)と呼ばれる仕組みを備えており、国や業界ごとに独特の商慣行に対応したり、各企業や部門にとって必要な機能を補ったりすることができる。
SAP R/3は大型汎用機(メインフレーム)向けに開発・販売されていたERPパッケージ「R/2」を元に開発され、最初の製品は1992年に発表された。2004年の「mySAP」製品シリーズの発表と共に「R/3」の名称は廃止された。「ERP Central Component」(ECC)と呼ばれるようになった。
2007年には「mySAP」ブランドが廃止され「SAP ERP」シリーズに改称された。2015年には後継となる第4世代の製品として「SAP Business Suite 4 HANA」(SAP S/4HANA)が発表された。これはインメモリデータベースの「SAP HANA」の利用を前提に全面的に設計が刷新されている。