エンタープライズアーキテクチャ 【EA】 Enterprise Architecture

概要

エンタープライズアーキテクチャ(EA)とは、大企業や政府機関などといった巨大な組織の資源配置や業務手順、情報システムなどの標準化、全体最適化を進め、効率よい組織を生み出すための設計手法。

組織を構成する人的資源、事業・業務、技術・システム情報データなどの要素を整理し、階層構造化することで、組織全体に対する組織の一部分の構成要素の関係、組織の一部分同士の相互関係を明確にする。その上で、業務プロセスや取り扱うデータ標準化を行う。

EAを導入することで、企業の持つ資源の重複や偏在を廃して全体最適の観点から配分することができる。例えば、特定の知識やスキルを持つ従業員を必要とする部署へ配置したり、部門や部署ごとにばらばらの基準や仕様で導入されているシステム標準化して容易に接続・連携できるようにしたり、機能が重複しているシステムなどを統合して全社で一本化しコストを削減するといったことが可能になる。

1987年にIBM社のコンサルタント、ジョン・ザックマン(John A. Zachman)氏が提唱した情報システム設計するための枠組み「ザックマンフレームワーク」が基礎となっており、1992年に情報システムだけでなく組織全体を対象とするよう拡張され、エンタープライズアーキテクチャの概念に発展したとされる。

導入事例

最も有名なエンタープライズアーキテクチャの導入事例としては、1999年に策定された米連邦政府のエンタープライズアーキテクチャである「FEAF」(Federal Enterprise Architecture Framework)がある。このなかで、EAは次の4つの要素に分割され、定義されている。

すなわち、業務分析、業務パターンの認識を行う「政策・業務体系」(Business Architecture)、業務システムで用いるデータ標準化を進める「データ体系」(Data Architecture)、組織全体で用いられる業務モデルと実際の個別の業務との差を埋め、相互接続性を確立する「アプリケーション体系」(Application Architecture)、「技術体系」(Technology Architecture)の4つである。

日本政府でも、2003年の「電子政府構築計画」に基づき、各省庁の情報システム構築運用に関する指針などを定めた「業務・システム最適化計画」が発行され、各省庁で政府CIOを中心に業務改革やシステム統合が行われている。

(2023.12.12更新)

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この記事の著者 : (株)インセプト IT用語辞典 e-Words 編集部
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