メインフレーム 【mainframe】 大型汎用機 / ホストコンピュータ / host computer

概要

メインフレーム(mainframe)とは、大企業や官公庁などの基幹情報システムなどに用いられる大型のコンピュータ製品。最も古くから普及している製品カテゴリーで、多数の利用者や業務で共有し、大量の重要なデータや処理を扱うため、極めて高い性能や信頼性を実現している。

建物の一室やワンフロアを占めるほどの大型の本体(ホスト)と、通信回線構内ネットワークで接続された操作用の端末ターミナル)で構成され、日常的な操作は端末を通じてわれる。電源処理装置記憶装置などほとんどの構成要素が多重化され、処理性能や耐障害性の向上が図られている。

CPU処理装置)などの部品やオペレーティングシステムOS)などのソフトウェアの多くは各社が自社で開発・製造する独自仕様の製品で、顧客は一社からすべての要素をパッケージしたシステムとして購入する形となる。

コンピュータ上で実行される業務システムアプリケーションソフト)は顧客の事業や業務に合わせてゼロから設計開発されることが多く、メーカーがソフトウェア開発まで請け負ってハードウェアと一括で納品する場合と、開発受託企業(インテグレータ)がメーカーから仕入れたコンピュータソフトウェアを導入して納品する場合がある。

ミニコンオフコンパソコンなど安価で小型な汎用コンピュータ製品が登場する1980年代頃までは、コンピュータといえばメインフレームのことであったため、「メインフレーム」という呼称は比較的新しいものである(単に「コンピュータ」と呼ばれていた)。

日本語で「汎用」と呼ばれるのは、それ以前のコンピュータは特定の用途ごとに特注で製造されるのが一般的だったからで、ソフトウェアや機器構成を柔軟に変更し、異なる種類の業務や用途に対応・共有できることは画期的なことだった。

メインフレームを製造・販売できるメーカーは大手コンピュータメーカーに限られ、現在では米IBM社、米ユニシス(Unisys)社、仏アトス(Atos/旧Bull)社、富士通、NEC、日立の6社が残るのみとなっている。世界的にはIBMシェアが高いが、日本では国産の人気が高い。

近年では、一部のシステムではパソコンや小型サーバコンピュータネットワークを通じて相互に接続した分散型のシステムがメインフレームに取って代わるようになり、最盛期に比べ市場規模は大きく落ち込んでいるものの、過去のシステムとの互換性や高い堅牢性などから、伝統的大企業や官公庁を中心に一定の地位を維持している。

(2020.1.7更新)

他の辞典による解説 (外部サイト)

この記事を参照している文書など (外部サイト)

  • 文部科学省「学術情報基盤の今後の在り方について(報告)- 附属資料2 用語解説外部リンク」にて参考資料に推薦 (2006年3月)
この記事の著者 : (株)インセプト IT用語辞典 e-Words 編集部
1997年8月より「IT用語辞典 e-Words」を執筆・編集しています。累計公開記事数は1万ページ以上、累計サイト訪問者数は1億人以上です。学術論文や官公庁の資料などへも多数の記事が引用・参照されています。
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