クライアントサーバシステム 【CSS】 Client Server System / クラサバ / C/Sシステム
概要
クライアントサーバシステム(CSS)とは、通信ネットワークを利用したコンピュータシステムの形態の一つで、機能や情報を提供する「サーバ」(server)と、利用者が操作する「クライアント」(client)をネットワークで結び、クライアントからの要求にサーバが応答する形で処理を進める方式。サーバはシステムで利用されるデータを保存・管理したり、接続された周辺機器などのハードウェアを管理したり、何らかのデータ処理機能を有するコンピュータやその上で動作するソフトウェアで、これらの機能や情報などをネットワークを通じて外部に提供することができる。
クライアントはサーバから機能や情報の提供を受ける機器やソフトウェアで、利用者が手元で操作し、画面表示や入力の受付などを担当する。クライアントはネットワークを通じてサーバに様々な要求を送り、サーバがこれに応えて処理を行い、応答を返す。
狭義には、企業などの情報システムの実装形態の一つで、機能や情報を提供するサーバソフトウェアと、これに対応する専用のクライアントソフトウェアにより役割を分担して処理を進める方式のことをクライアントサーバシステムと呼ぶことがある。
この文脈では、クライアントとしてWebブラウザなど汎用の製品を用いる「Webアプリケーション」(Web系システム)などは区別・対比される。広義には(あるいは、原理的には)、Webもクライアント-サーバ型のモデルで実現されるシステムであるため注意が必要である。
他の方式との違い
1980年代頃から普及し始めたシステム形態で、それ以前はメインフレームなどの大型コンピュータ(ホスト)などに通信回線を通じて入出力端末(ターミナル)を接続し、ホストが集中的に処理を行う方式が一般的だった。
クライアントサーバシステムと比べると、ホストとサーバ、ターミナルとクライアントの役割はそれぞれ似ているが、ターミナルにコンピュータとしての機能がなく表示や操作に単純な方式しか利用できない一方、クライアントは独立した一台のコンピュータやデジタル機器であり、サーバから受信したデータを用いて複雑な処理や表示、操作などを利用者に提供することができる。
ちなみに、サーバとクライアントのように非対称に役割を分担するのではなく、対等な機能や立場のコンピュータやソフトウェアがネットワークを通じて相互に要求や応答を送り合って一つの機能を実現する形態もあり、「ピアツーピアシステム」(Peer to Peer system、P2Pシステム)などと呼ばれる。
関連用語
他の辞典による解説 (外部サイト)
この記事を参照している文書など (外部サイト)
- 東京経済大学「現代法学」30号「ソフトウェア開発を巡る法的紛争の動向 ―『プロジェクトマネジメント責任』を中心に―」(PDFファイル)にて引用 (2016年2月)