ワークシェアリング 【work-sharing】 ワークシェア
概要
ワークシェアリング(work-sharing)とは、雇用を維持あるいは創出するため、労働者間で雇用を分かち合うこと。働く人の数を増減させる代わりに一人あたりの労働時間を増減させるようにしたり、一人が長時間働いてこなしていた仕事を複数人が短時間ずつ働くことで代替するような施策や政策を指す。従来、企業は景気や業績の上下に対して従業員の増減(採用・解雇)で対応してきたが、一部の先進国では失業率の高止まりや失業者の固定化(失業の長期化)が起きる一方、一部の正規労働者に負荷が集中して心身の健康を損なうという問題が同時に起きていた。この両極端の状態を緩和するため、決まった仕事量をなるべく多くの従業員あるいは国民で分かち合うというワークシェアリングの概念が注目されるようになった。
厚生労働省ではワークシェアリングの4つの類型を示している。「雇用維持型(緊急避難型)」は、一時的あるいは急激な景気や業績の悪化を乗り越えるため、従業員一人あたりの労働時間を削減し、雇用を維持(人員整理を回避)する方式である。「雇用維持型(中高年対策型)」は中高年層の雇用を維持するために専用の就労制度を用意する取り組みで、現役時代より待遇を切り下げて定年を延長したり定年退職者を再雇用する制度などが該当する。
「雇用創出型」は従業員の労働時間を削減することで新たな雇用を創出する施策で、フランスの厳しい労働時間抑制策などが挙げられる。「多様就業促進型」は同じ職場や業務で様々な勤務形態を許容する手法で、育児や介護に従事する労働者のための短時間勤務、副業や兼業を前提とした勤務制度、在宅勤務などが該当する。
(2021.6.9更新)