データセンター【data center】DC

別名  :インターネットデータセンター/IDC/Internet Data Center

概要

データセンターとは、情報やサービスを提供するためのサーバコンピュータネットワーク機器などを設置・運用するための専用施設。大容量の電源や高速な通信回線を備え、大量の機器を設置して稼働させる。

構内には大量のコンピュータや通信装置、ケーブルなどがあり、これらが専用の棚型の什器(19インチラックなど)を用いて高密度に配置されている。一般のオフィスとは異なり、人間がコンピュータを操作するための机や椅子、入出力装置などは管理者用の最小限のセットのみが設置される。

大量の情報機器を運用するため、大容量の受電・配電設備、予備電源(無停電電源装置やディーゼル発電機など)、大容量の光ファイバー回線を引き込める通信設備、機器の発する膨大な熱を効率的に除去する専用の空調設備、厳格な入退室管理システムなどがある。

人間が通って働くことを前提としない施設であるため、交通などが多少不便でも、災害に強い地域や地価の安い地域、電気代の割安な地域などをあえて選択することがある。事故や災害に備えて、不活化ガス消火設備や免震床などの特殊な設備を導入することもある。

施設の形態

一般の商業ビルの一フロアや一室をデータセンターとして用いる場合と、データセンター専用のビルを建築して用いる場合がある。一般企業の情報システム部門などでは前者が、IT関連の事業者やサーバの設置・運用を受託する専門の事業者の場合は後者の形態が多い。近年では一般の企業も自社内での運用(オンプレミス)をやめ、クラウド事業者に委託する例が増えている。

いわゆるビルのような建物を用いる場合の他にも、物流倉庫の一角をデータセンターとして利用したり、物流用の貨物コンテナに必要な資機材を収納して必要な場所に運搬して利用する「コンテナ型」などの形態もある。冷却効率の向上などを目指して、密封したカプセル型の設備を海中に沈めて運用する実験なども行われている。

サービスの種類

データセンターの運用に特化し、外部からサーバなどの設置・運用を受託する事業者も存在する。このうち、契約者が事業者の設置したサーバなどをリースやレンタルなどの形で借り受け、通信回線を通じて外部から利用する形態を「ホスティング」(hosting)という。

一方、契約者自身が用意した機材を事業者のセンター内に設置し、管理も契約者側の人員が遠隔操作や入室して行う方式を「ハウジング」(housing)あるいは「コロケーション」(colocation)という。両者の中間的な形として、契約者が機器を持ち込んで設置するが、日常的な管理・運用は事業者側が請け負う「マネージドサービス」(managed serive)と呼ばれる契約形態もある。

排熱と省電力化

データセンターでは大量の電力を消費し、大量のエネルギーが熱として排出されるため、他の施設にはない様々な工夫が行われる。熱を効率よく外部に排出するため、構内は冷気の通り道である「コールドアイル」と、機器で熱された空気の通り道である「ホットアイル」が什器を挟んで交互に並んでいる。排熱を無駄にしないため、温水プールを併設したり、近隣に暖房用の熱を供給しているデータセンターもある。

省電力化のため、寒い地方に建設して冷たい外気を利用したり、電力会社から受電した交流電流を直流に一括変換し、施設内の機器には直流で供給する「直流給電」などが行われることがある。クラウド事業者の自社設備などの場合には、サーバ電子基板を絶縁性の液体に沈めて効率よく冷却する「液浸冷却」などの技術も活用される。

データセンターの電力効率は「PUE」(Power Usage Effectiveness)という指標で表される。施設の全消費電力をIT機器の消費電力で割った指数で、冷却などによるロスが少ないほど値が小さくなる。すべての電力をIT機器のみが消費している理想状態で最小値の1.0となる。

(2025.10.30更新)

他の用語辞典による「データセンター」の解説 (外部サイト)