読み方 : プッシュせんりゃく
プッシュ戦略【push strategy】
概要
プッシュ戦略とは、メーカーなどの販売促進戦略のうち、卸売業者や小売店といった流通事業者に働きかけ、消費者への積極的な売り込みを促す手法。メーカーから卸売業者へ、卸売業者から小売店へ、小売店から消費者へと段階的に商品が押し出される構造をとることから、この名称で呼ばれる。

具体的な施策としては、販売奨励金(リベート)の供与、販売支援員の派遣、製品知識や販売手法に関する説明・指導、売り場づくりの支援などがある。一定の販売数量を条件としたインセンティブ設計や、優先的な棚割りの確保なども含まれる。小売店と長期的な協力関係を結んで系列化する手法も、広義のプッシュ戦略に含まれる。
近年では、従来の対面営業や実店舗への働きかけに加え、デジタル技術を活用した施策も一般化している。流通事業者向けのB to Bポータルサイトを通じて製品情報や販促素材を迅速に提供したり、在庫管理システムを共有して受発注を効率化し取扱量を拡大させたりする手法などがある。
これに対し、メーカーが広告やPR活動、販促イベント、試供品提供、SNSでの情報発信などを通じて消費者に直接訴えかけ、需要を喚起して指名買いを促す手法を「プル戦略」(pull strategy)という。プッシュ戦略が流通チャネルへの働きかけを起点とするのに対し、プル戦略は消費者の購買意欲そのものを起点とする。両者は補完的な関係にあり、実際の販促活動では組み合わせて用いるのが一般的である。どちらに重心を置くかは、製品の性質、流通チャネルの構造、競合環境などによって異なる。
(2026.6.17更新)