EAI 【Enterprise Application Integration】 エンタープライズアプリケーション統合
概要
EAI(Enterprise Application Integration)とは、企業内で個別に設置・運用されていた業務システム間を連携させ、データやプロセスを統合して一体的に運用すること。また、そのような機能を提供するソフトウェアやシステムなど(EAIツール)。業務で用いるコンピュータシステムでは様々な機種やソフトウェア、データ形式が用いられるが、従来はそれらを連携させるには一対一で個別に仕組みを整えなければならず、どうしても必要な、限られた組み合わせについてのみ連携システムを開発することが多かった。
EAIツールは様々なシステムとデータの送受信や機能の呼び出し、データの相互変換などができるミドルウェアおよびその設定・管理ツールなどで構成されており、EAIに接続されたシステムはこれを中継して他の様々なシステムと連携できるようになる。
主な機能と構造
一般的なEAI製品は、各システムへ接続するインターフェースとなる「アダプタ」、データ形式やプロトコル(通信規約)などの違いを吸収する「フォーマット変換」、データの送り先を制御する「ルーティング」、これらを組み合わせて業務に合わせたプロセスを構築する「ワークフロー」あるいは「プロセス制御」などの機能で構成される。
多くの製品では著名な業務用パッケージソフトのアダプタをあらかじめ内蔵していることが多く、標準では対応していないシステム向けのアダプタを開発して後から追加することができる仕組みを備えている。主要な操作のほとんどをグラフィック表示・操作(GUI)で行うことができ、個別のプログラム開発を極力排除する「ノンコーディング」を売りにする製品が多い。
歴史
「EAI」という用語は1990年代の終わり頃に提唱された。初期の製品は分散オブジェクトやメッセージキューイング(MQ)、トランザクションモニタなどの技術を応用した製品が多く、システムごとの個別の作り込みが必要で、大規模・高性能なサーバを稼働環境としていた。
EAIを中心にシステムを集約するような構造で、既存システムの規模が大きな大企業などでは一部で導入が進んだが、EAIシステムに機能や負荷が集中する構造のため、必ずしも低コスト化には寄与せず、価格自体が高額であることなどもあり中小規模のシステムでの利用は広まらなかった。
2000年代中頃になると、EAIより疎結合で分散処理型、共通のプロトコルやデータ形式を基盤とした「SOA」(Service Oriented Architecture)や「ESB」(Enterprise Service Bus)などの連携システムが台頭したが、Webサービスの標準化や普及が進まず全面的にEAIに取って代わる状況とはならなかった。