マクシミン原理【maximin principle】マクシミン戦略
マクシミン原理とは?

複数の行動の選択肢からどれか一つを選ばなければならない場合に採用される戦略の一つで、それぞれの行動に想定される最悪の場合の利得を比較し、これが最大になる選択肢を選ぶ。利益の最大化ではなく、最悪の事態における損失や不利益を最小限に抑える発想に立つ。
例えば、行動Aと行動Bの二つの選択肢があり、行動Aの最大利得が100、最小利得が10、行動Bの最大利得が50、最小利得が20であるとする。マクシミン原理では両者の最小利得である10と20を比較し、より大きい20が得られる行動Bが選択される。
この基準では、最良の場合や平均的な期待値ではなく下限の水準のみに着目する。行動Aの方が最大利得は大きいものの、最悪の場合の結果は行動Bの方が優れているため、将来の状態に対する確率情報が利用できない、または信頼できない状況において、最悪ケースへの耐性を重視する場合に用いられる。新規事業への投資判断やビジネスの意思決定などで、一度の失敗が致命傷になるような場合にリスクを極端に嫌う保守的な戦略として用いられる。
これとは逆に、最大利得が最大となる選択肢(先の例では最大利得が100の行動A)を選ぶ基準を「マクシマックス原理」(maximax principle)という。リスクを考慮せず、最も高い利得が期待できる選択肢を選ぶ、楽観的な姿勢に基づく基準である。また、利得ではなく損害(コスト)に着目し、想定される最悪の場合の損害が最小になる選択肢を選ぶことを「ミニマックス原理」(minimax principle)という。ゼロサムゲームのような、相手の得が自分の損になる対抗関係では、マクシミン原理とミニマックス原理は同じ結論を導き出す。
この概念は、20世紀中頃に数学者ジョン・フォン・ノイマン(John von Neumann)らが提唱した「ゲーム理論」を基礎としている。経営学や経済学のほか、人工知能(AI)が最適解を探索するアルゴリズムや、サイバーセキュリティにおける脅威への備えなど、ITやシステム設計の領域でもリスク管理の基本的な考え方として応用されている。