ブート 【boot】 ブートストラップ / bootstrap
一般的なパソコンなどの場合、電源が入ると自動的にマザーボードの不揮発性メモリ(ROMやフラッシュメモリなど)に記録された「ブートローダ」(bootstrap loader)という小さなプログラムを実行する。これは「1次ブートローダ」とも呼ばれる。
1次ブートローダは起動デバイスに指定されたストレージ装置(内蔵ハードディスクやSSD、光学ディスク、USBメモリなど)の先頭部分の特殊な領域から、OSの起動プログラムである「2次ブートローダ」を読み込んで実行する。
2次ブートローダは設定情報などからOSが記録されているストレージ上の領域(ボリュームやパーティション)を認識し、OS本体の初期化プログラムを読み込んで実行する。マルチブート対応のブートローダの場合、ストレージに複数のOSを保存して起動時に利用者がどれを起動するか選択するようにすることもできる。
1次ブートローダはBIOSやUEFIなどの一部としてあらかじめ組み込まれていることが多いため、単に「ブートローダ」といった場合はOSの導入時などにストレージの先頭領域に登録する2次ブートローダを指すことが多い。
語源
この場合の「ブート」(boot)は「ブートストラップ」(bootstrap)の略で、原義は(靴の)ブーツの上端にある「つまみ革」を意味する。これは、指で摘んで引っ張り上げることで足を靴に滑り込ませる取っ手である。
英語のことわざに “pull oneself up by one's bootstraps” (つまみ革を引っ張って自分を持ち上げる)という表現があり、不可能なことや馬鹿げたことの例えや、人に頼らず自助努力で何とかするという意味合いで用いられる。
コンピュータの起動をブートストラップに例えたのはコンピュータ黎明期の1950年代のことで、由来はこのことわざであるとされるが、その心は「OSは自身を起動することはできない」という矛盾を解決する仕組みを意味するのだとも、「電源スイッチを押せばあとは外部の助けを借りずに自力でOSを起動できる」ことを例えたのだとも言われ、はっきりしない。