排他制御 【mutual exclusion】 相互排他

概要

排他制御(mutual exclusion)とは、複数の主体が同じ資源を同時に利用すると競合状態(race condition)が生じる場合に、ある主体が資源を利用している間、別の主体による資源の利用を制限もしくは禁止する仕組みのこと。

例えば、あるプログラムストレージ上のあるファイルに書き込みをなっている最中に、並行して実行されている別のプログラムがそのファイルへの書き込みを開始してしまうと、ファイルの内容が破壊され整合性のないものになってしまう。

このような事態を防ぐために、ファイルへの書き込みがわれている間は別のプログラムによる書き込みを禁止するという制御がわれる。このような制御は「ロック」(lock)と呼ばれ、最も有名な排他制御の方式の一つである。

排他制御は割り込み禁止機構などのハードウェア上の機能を利用して実装する場合と、プログラムの実行制御によりソフトウェア的に実装する場合がある。オペレーティングシステムOS)やライブラリなどの中には、これを利用するプログラムに対して何らかの同期機構を提供するものもある。

OS上のプロセスプログラム上のスレッド間でロック機構を実現する方式として「ミューテックス」(mutex)がよく用いられる。また、資源が複数個ある場合の排他制御として、プロセスが資源へのアクセスを開始・終了する度に利用可能な残り数を増減させる「セマフォ」(semaphore)が用いられることもある。

(2020.4.24更新)

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この記事の著者 : (株)インセプト IT用語辞典 e-Words 編集部
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