Android

概要

Androidとは、米グーグル(Google)社が開発した、スマートフォンタブレット端末など携帯情報機器向けのオペレーティングシステム(OS)。主にスマートフォンのOSとして広く普及しており、世界的に米アップル(Apple)社の携帯機器向けOSである「iOS」と市場を二分する。

携帯機器のハードウェアの管理、移動体通信網(4Gや5Gなど)や無線LANWi-Fi)などの通信・通話の制御、利用者への表示・操作環境(ユーザーインターフェース)の提供、ソフトウェアの実行制御などを行う。

パソコン向けOSなどとは異なり、利用者がAndroid自体を入手して端末に導入することは稀で、端末メーカーが機種ごとに調整したAndroidを独自に用意し、端末にすでに組み込まれた状態(プレインストール済み)で出荷する。各メーカーや携帯電話事業者(携帯キャリア)が開発したソフトウェアがあらかじめ内蔵されていることも多い。

Android標準のユーザーインターフェースは用意されているものの、ホーム画面や日本語入力ソフトなど、基本的な操作画面やユーティリティソフトもメーカーが独自開発したものに置き換えることが多いため、同じAndroidでもメーカーや機種によって見た目や操作感が大きく異なることが多い。

Androidアプリ

Androidを導入した端末はパソコンと同じように汎用コンピュータとして使用でき、外部からアプリケーションソフト(「アプリ」と略されることが多い)を追加して実行することができる。通話や設定、SMSショートメッセージ)、電子メールの送受信、内蔵カメラによる撮影、Webブラウザなど基本的なアプリは標準で内蔵しているが、端末メーカーが独自開発したものと置き換えられている場合もある。

アプリはパソコンなどから直接取り込むことができるほか、インターネットを通じてアプリの販売や配布を行うアプリストアへ接続して入手する方法もある。標準のアプリストアとしてGoogle社の運営する「Google Play」(グーグル・プレイ)が用意されているが、端末メーカーや携帯キャリアなどが独自に用意したストアを利用することもできる。

表示・操作

基本的な操作手段として、指先や専用のペン型装置(タッチペン)で画面に触れて位置を入力するタッチパネル方式を採用している。基本的なタッチ操作として、指示したい位置に軽く触れてすぐ離す「タップ」(マウスのクリックに相当)、タップを素早く二回繰り返す「ダブルタップ」(マウスのダブルクリックに相当)、触れたまま画面をなぞる「スワイプ」(マウスのドラッグに相当)、二本の指で触れて近づけたり離したりする「ピンチ」(表示の拡大・縮小を指示)などがある。

操作画面は上から三つの領域に分割されており、上段の細長い部分が各種の状態表示や通知などが表示される「ステータスバー」、中段が実行中のソフトウェアが使用する表示領域、下段の細長い部分が「戻る」ボタンやホームボタン、アプリの切り替えボタン(マルチタスク)の三つが並んだ「ナビゲーションバー」(初期のAndroidには存在せず画面下に物理的なボタンが並んでいた)となっている。

起動時に最初に表示されるOSの基本の操作画面としてホームスクリーン(ホーム画面)が用意され、GoogleによるWeb検索が行える検索バーや日付・時計、よく使うアプリのアイコンが並んでいる。アイコンをタップすると対応するアプリを起動することができる。アプリの表示中にホームボタンを押すとすぐにホーム画面に戻ることができる。

構造・機能

OSの中核部分にはオープンソースとして公開されているLinuxカーネルに手を加えたものを採用しており、その上にソフトウェアの実行環境(ランタイム)や携帯機器での動作や操作に必要なライブラリ、フレームワークなどが組み込まれている。機器に搭載されるAndroidそのものとは別に、Android対応ソフトウェアを開発するためのツール類も提供される。

世界で使用される様々な携帯電話・移動体データ通信方式(W-CDMACDMA2000、LTELTE-Advanced、5Gなど)での通話や通信に対応しており、無線LANWi-Fi)やBluetooth、USB、SDメモリーカードなどによる通信や入出力にも対応する。

携帯機器の多くに内蔵されているGPS(全地球測位システム)や加速度センサー、NFC(近距離無線通信)などの機能を利用することもでき、端末の傾きを計測して画面の向きを自動的に回転させるとといった制御にも対応する。

Androidを構成するプログラムは「Apacheライセンス」と呼ばれる利用規約に基づいてオープンソースソフトウェアとして公開されており、誰でも自由に入手、修正、再配布などをすることができる。携帯機器が内蔵するAndroidはオリジナルのものに開発元が機種固有の改変を加えている場合もある。

対応するCPU(マイクロプロセッサ)の機種は当初は英アーム(ARM)社系のみだったが、MIPS系や米インテル(Intel)社のx86系にも対応している。多くのパソコン向けOSなどと異なり、各アプリのプログラムはJava言語の仮想マシン向けの中間コードで構成されるため、Androidが実行時に機種の違いを吸収し、どの機種でも同じように実行してくれる。

開発環境

アプリはAndroid向けに調整されたJava言語を用いて開発できるが、他のプログラミング言語からもAndroidの仮想マシンが実行できるプログラム形式に変換するソフトウェアが数多く提供されている。2017年頃からはJavaに代わって「Kotlin」(コトリン)言語がAndroid開発の標準的な地位を獲得している。

標準の統合開発環境(IDE:Integrated Development Environment)として「Android Studio」(アンドロイド・スタジオ)が提供されているが、開発ツールやライブラリなどをまとめた「Android SDK」(Software Development Kit)も用意されており、他のIDEなどを使って開発することもできる。「Xamarin」や「Apache Cordova」のようにiOSと共通のプログラミング言語およびコードで開発できる開発環境もある。

開発環境としてパソコンなど非Android環境を用いるクロス開発が基本となるため、Android端末での動作を開発環境上で確認できるよう、「AVD」(Android Virtual Device)と呼ばれる端末エミュレータが同梱されている。実機に送ってテストする前にパソコンなどである程度の動作確認を行うことができる。

(2024.6.15更新)

他の辞典による解説 (外部サイト)

試験出題履歴

ITパスポート試験 : 令6 問97 令4 問63 平30秋 問81

この記事を参照している文書など (外部サイト)

この記事の著者 : (株)インセプト IT用語辞典 e-Words 編集部
1997年8月より「IT用語辞典 e-Words」を執筆・編集しています。累計公開記事数は1万ページ以上、累計サイト訪問者数は1億人以上です。学術論文や官公庁の資料などへも多数の記事が引用・参照されています。