インクジェットプリンタ 【inkjet printer】

概要

インクジェットプリンタ(inkjet printer)とは、プリンタ(印刷機)の種類の一つで、印刷面に近づけたノズルの先端から微細なインクの滴を噴射して着色する方式のもの。個人用、家庭用のプリンタとして最も一般的な方式。

紙などの印刷したい媒体を装置内で奥から少しずつ手前に繰り出し、その上を左右に動く印字ヘッドからインクを噴射して印刷を行う。初期には黒インクでモノクロ印刷のみ可能だったが、現在では黒に「色の三原色」に対応する水色(シアン)、薄紫(マゼンタ)、黄色(イエロー)の三色を組み合わせた「CMYK」によるフルカラー印刷ができる機種が一般的である。

レーザープリンタなどに比べると機構が簡素で安価であり、装置も小型・軽量で、機器によっては平らな面以外に印刷できるものがある。静粛性や印刷速度、印字品質、解像度などではレーザー方式などの方が優れるが、上位機種は品質面ではほとんど人の目には見分けがつかないほど高品位化が進んでいる。

初期の機種は単機能のプリンタだったが、現在は原稿読み取り台やネットワーク通信機能を備え、イメージスキャナやカラーコピー機などとしても使える「インクジェット複合機」が主流となっている。A3用紙やB4用紙への印刷や、原稿の連続読み取りなどに対応したオフィス向けの高機能・高性能な製品の普及も進んでいる。

インクを噴出する機構には主に二つの方式がある。一つは電圧を加えると変形する圧電素子(ピエゾ素子)でノズルを圧してインクを押し出す「ピエゾ方式」で、セイコーエプソンは「マッハジェット」と呼んでいる。もう一つはノズルをヒーターで加熱して気泡を生じさせてインクを押し出す「サーマル方式」で、キヤノンは「バブルジェット」と呼んでいる。

(2024.6.24更新)

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試験出題履歴

ITパスポート試験 : 令4 問94
この記事の著者 : (株)インセプト IT用語辞典 e-Words 編集部
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