jQuery

概要

jQueryとは、Webブラウザ上で動作するJavaScriptライブラリの一つ。ブラウザの種類に依らず簡潔な記述で豊富な機能を活用することができる。オープンソースとして公開・配布されている。

シンプルなコードでWebページの要素に演出効果やアニメーションなどを追加したり、スタイルやイベント起動の設定や変更などを行うことができる。Ajaxによる外部との通信も容易に実装できるほか、様々な機能を実現する豊富な対応プラグインが公開されている。

jQueryオブジェクトとメソッドチェーン

jQueryは独特の記法を使い、複数の処理を容易に組み合わせられるようになっている。機能のほとんどは「$」あるいは「jQuery」という名前(別の名前を指定することもできる)のオブジェクト(これをjQueryオブジェクトという)のメソッドとして定義されている。

最初に$関数にCSSセレクタに似た記法で $(“div.myclass”) のようにページ内の操作したいDOMDocument Object Model)要素を指定すると、その要素を内部に持つjQueryオブジェクトが返されるため、これに実行したいメソッドを指定する。

返り値として同じ要素を持つ処理済みのjQueryオブジェクトが返されるため、さらに何か処理したい場合には続けてメソッドを指定することで、$( セレクタ ).処理1( 引数1 ).処理2( 引数2 ).処理3( 引数3 )…; のように数珠つなぎに処理を記述していくことができる。このような連鎖的な処理の記述様式をメソッドチェーンという。

ユーティリティ関数

jQueryオブジェクトにはスクリプト中から単体で呼び出して使用できる便利なメソッドが多数実装されており、$.メソッド名(引数) という書式で簡単に呼び出すことができる。これをユーティリティ関数という。

これを利用してAjax機能は$.ajaxとしてまとめられており、他にも反復処理を記述する$.each、配列を結合する$.mergeオブジェクトを連結する$.extend、非同期処理を記述する$.Deferredなど様々な機能が実装されている。これらのうちのいくつかはJavaScript規格(ECMAScript)の更新により言語仕様自体に取り込まれたため、今となってはあまり使用する必要がなくなっている。

歴史

2005年1月にジョン・レッシグ(John Resig)氏が最初のバージョンを開発し、オープンソースソフトウェアとして公開した。2012年には新たに設立された非営利団体のjQuery Foundationに移管されたが、同団体は2016年に他の有力JavaScript関連オープンソースプロジェクトと統合されJS Foundation(現OpenJS Foundation)となった。

複雑化する一方のWeb開発を簡潔にするクロスブラウザライブラリとして2010年前後に特に人気が高まった。しかし、機能追加や様々なブラウザとの互換性維持のために次第にファイル容量が増大していき、データ転送量がかさむ点やページの読み込みに時間がかかる点が敬遠されるようになった。

(2019.7.19更新)

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この記事の著者 : (株)インセプト IT用語辞典 e-Words 編集部
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