リモート起動【remote boot】リモートブート/遠隔起動
概要

最も普及している方式は「WOL」(Wake on LAN)である。電源が切れた状態でもコンピュータのネットワークカードは微弱な電力で待機しており、「マジックパケット」と呼ばれる特定の信号を受信するとマザーボードへ起動信号を送る仕組みである。マジックパケットには対象機器固有のMACアドレスが含まれており、この情報を照合することで誤った機器が起動しないようになっている。利用するにはBIOS(UEFI)の設定でこの機能を有効化しておく必要がある。
インターネット越しに操作する場合は追加の設定が必要である。マジックパケットは通常、同一の物理ネットワーク内にしか届かないため、外部からアクセスするにはVPN(仮想プライベートネットワーク)の利用やルータによるポート転送が必要となる。企業のデータセンターなどでは、オペレーティングシステム(OS)とは独立して動作するサーバ用の管理インターフェース(IPMIやiDRACなど)を使い、電源状態に関わらず遠隔から制御する管理方式も用いられる。
リモート起動はシステムの省電力運用にも活用される。使用しない時間帯は電源を落としておき、必要なときだけ遠隔から起動することで消費電力を抑えられる。夜間に自動処理を実行する前に起動し、完了後に停止するといった運用も可能である。外出先からスマートフォンで自宅のパソコンを起動し、リモートデスクトップで作業するといった家庭での利用も広がっている。
外部から電源操作が可能になるため、セキュリティへの配慮が欠かせない。VPNによる通信経路の保護やMACアドレスによる認証、管理用ネットワークの分離といった対策を講じることが必要となる。適切な設定なしにインターネットからアクセス可能な状態で放置すると、悪意ある第三者に不正に機器を操作される危険がある。