読み方:ティーディーピー

TDP 【Thermal Design Power】 熱設計電力

概要

TDP(Thermal Design Power)とは、CPUやGPUなどの大規模な半導体チップについて、設計上想定される最大放熱量のこと。すべての回路を全力で稼動させたときにどの程度の熱を発するかを表す指標で、単位はワット(W)。
TDPのイメージ画像

現代では半導体の集積密度の飛躍的な向上に伴い、プロセッサなどの高密度な集積回路の放出する熱は自身を破壊するほどの量に達するため、コンピュータに組み込む際には適切な冷却機構や冷却装置が必要となる。

チップがその能力の最大限まで稼働したときに、理論上どの程度まで熱を発する可能性があるかを示すのがTDPである。TDP自体は発熱量を表すが、その値は最大消費電力にほぼ等しい。チップごとに、および機器全体として、TDPを参考に適切な電源や冷却機構を用意する必要がある。

実際にチップを使用する際、すべての回路を同時に稼動させるという状況はほとんどありえないため、より現実的な指標として、ある典型的な利用状況を想定して、その時の発熱量を計測する「SDP」(Scenario Design Power)などの指標を提唱しているメーカーもある。

CPUなどのチップは内部の回路を同期するためのクロック周波数が高いほど電力消費が激しくなり、発熱量も増大する。近年のチップの中には、自身の内部の温度を計測・監視し、発熱量が安全な範囲にあるときは高クロックで動作し、危険な水準に近づくと自動的にクロックを引き下げて温度を下げる「サーマルスロットリング」という制御を行うものもある。

(2025.8.22更新)

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