フォームファクタ 【form factor】
概要
フォームファクタ(form factor)とは、コンピュータなどの電子機器で、筐体や部品、端子などの形状や寸法、配置といった物理的な要素に関する仕様や規格のこと。単にフォームファクタという場合はパソコンのマザーボード(主基板)の仕様について規格のことを指すことが多い。マザーボードのフォームファクタは、基板の各部の寸法やケースに固定するネジの位置、一部の接続端子の仕様や配置などを規定したもので、これに則って設計されたケースや基板、電源ユニットなどを自由に組み合わせて本体を組み立てることができる。
AT仕様
パソコン向けに最初に広く普及した規格は1984年のIBM PC/ATのマザーボードと同じサイズ・形状の「AT仕様」で、各社が互換機を製造するために同じ設計を用いたことから標準仕様として広まった。
基板サイズは13.8×12インチ(約351×305mm)で、このサイズは後に登場した小型の派生仕様と区別して「フルAT」とも呼ばれる。AT仕様に対応した電源ユニットを「AT電源」と呼び、電源の標準仕様として広く普及した。
小型の筐体に対応するため、オリジナルのAT規格のサイズを縮小した「Baby AT」(ベビーAT)仕様も策定された。1985年に発売されたIBM PC/XTに搭載されていたマザーボードの仕様を踏襲したもので、サイズは13×8.5インチ(約330×216mm)となっている。
フォームファクタの多様化
1995年に米インテル(Intel)社主導で「ATX」仕様が策定され、以降、世代を超えて通常サイズのデスクトップ型やタワー型パソコンの標準フォームファクタとして広く普及している。派生仕様として小型の「MicroATX」や「FlexATX」、サーバなど大型筐体向けの「E-ATX」(Extended ATX)も容易されている。
また、ATX系以外にも、台湾のビア・テクノロジーズ(VIA Technologies)社が組み込み機器など小型の筐体向けに策定した「Mini-ITX」「Nano-ITX」「Pico-ITX」「Mobile-ITX」や、Intel社が弁当箱サイズやキューブ型など超小型パソコン向けに策定した「NUC」(Next Unit of Computing)などの仕様がよく知られる。