ミューテックス 【mutex】 mutual exclusion

概要

ミューテックス(mutex)とは、コンピュータで並列処理を行う際、同時に実行されているプログラム間で資源(リソース)の排他制御や同期を行う仕組みの一つ。同時に一つのプログラムの流れのみが資源を占有し、他の使用を排除する方式。

ある資源を利用したいタスク(プロセスやスレッド)は資源をロックし、他のタスクのアクセスを禁止する。利用が終了するとロックを解除(アンロック)し、他のタスクが利用できるよう開放する。このとき、ロックを行ったタスクしかアンロックの操作は行えないという制約がある。

一方、当該資源のうち現在利用可能な数を表す値をシステムが管理し、その値を増減させることで上限数を超えるタスクが同時にアクセスできないようにする機構(およびそのような値)を「セマフォ」(semaphore)という。資源が一つの場合のセマフォは使用可能(1)か不可能(0)かの2値となり、仕組みの上ではミューテックスとほぼ同等になる。これをバイナリセマフォという。

ミューテックスの仕組みはオペレーティングシステム(OS)や言語処理系の標準ライブラリなどが機能を提供していることが多く、これを利用して実装される。システムによってミューテックスもセマフォも用意されている場合も、どちらかしか無い場合もある。

(2020.8.18更新)

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この記事の著者 : (株)インセプト IT用語辞典 e-Words 編集部
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