Escキー 【Esc key】 Escapeキー / エスケープキー
概要
Escキー(Esc key)とは、キーボードの特殊キーの一つで、上面に「Esc」「Escape」などと刻印してあるもの。キャンセルなどの操作に用いることが多い。標準的なキー配列の製品では左上端に配置されている。特殊な操作を表すキーとして用いられることが多く、ソフトウェアによって機能は異なるが、一般的には操作や入力のキャンセル(取り消し)、処理の中止や停止、中断、ダイアログボックスなどの「いいえ」などを表すことが多い。テキストエディタなどでは文字編集画面とメニューやコマンド入力の行き来など、操作モードの切り替えに用いられることもある。
Escキーを押すと制御文字の一つであるエスケープ文字(ESC:ASCIIコード27番/16進数で1B)がコンピュータ本体に送信される。これはもともと外部の周辺機器や端末(ターミナル)の制御などに用いられるもので、送信文字列の中で機能の呼び出しなどを表す特殊なデータ列(エスケープシーケンス)の開始を指示するためのものだった。
現在ほとんどの製品では「Esc」「Escape」という英字が刻印されているが、キーボードのキー配列などを定めた国際規格ISO/IEC 9995では、○の中に左上向きの矢印を重ねた専用の記号「⎋」も規定されている(がほとんど普及していない)。この記号はUnicodeに「BROKEN CIRCLE WITH NORTHWEST ARROW」(U+238B)として収録されている。
配置の変遷
1960年代に米IBM社の大型コンピュータ(メインフレーム)の端末で初めて採用されたキーで、1980年代には初期のパソコンのキーボードにも採用された。IBM PCの83キーボードなど、初期のパソコン向けキーボードにはまだファンクションキーの列がなく、英数領域の左上端(「1 !」の左)に配置されていた。
これにならって初期の日本のパソコンの多くもこの位置に置いたが、IBM PC/ATの101キーボードでは最上段に新設されたファンクションキーの左端の現在の位置に移され、1の左にはチルダおよびアクサングラーブ(「~ `」)が配置された。
一方、日本メーカーは1980~90年代の各社独自仕様のパソコン製品でEscキーの位置を据え置き、左上端にはSTOPキー(NEC PC-9800シリーズなど)やPauseキー、Breakキー、Pause/Breakキーなどを配置した。このため、現在の位置が定着したのはPC/AT互換機の109キーボードへの置き換えが進んだ1990年代後半以降である。