マルチモード光ファイバー 【multi-mode optical fiber】 MMF

概要

マルチモード光ファイバー(multi-mode optical fiber)とは、通信用の光ファイバーの種類の一つで、光が通るコア(芯材)の径が太く、入射した光線が複数の伝播経路を取ることができるもの。素材や構造の違いによりグレーデッドインデックス型(GI型)とステップインデックス型(SI型)に分かれる。

光の通る芯材(コア)が太いため、送信側から入射した光は入射角によって微妙に異なる複数の伝播経路(モード)を反射しながら反対側まで到達する。異なるモードの光は経路長が異なるため到達時間も微妙にずれ、受信側では光がぼやけてしまうため高速な伝送には向かない。光の分散は伝送距離が長いほど大きくなるため、長距離伝送にも向かない。

一方、径が細くモード分散が起こりにくい構造の光ファイバーケーブルを「シングルモード光ファイバー」(SMF:Single Mode Fiber)という。シングルモード型がガラスや石英で製造されるため高価なのに対し、マルチモード型は素材に透明なプラスチックを利用することができるため、低コストで製造でき、曲げにも強い(きつめの角度で曲げられる)というメリットもある。

GI型光ファイバー (グレーデッドインデックス型光ファイバー)

マルチモード光ファイバーのうち、光の屈折率が中心軸から同心円状に連続的に変化する材質・構造を用いたものを「グレーデッドインデックス」(GI:Graded-Index)型という。

入射角の違いによる伝播速度の変化を比較的小さく抑えられる。SI型に比べ相対的に長距離・広帯域の伝送に向くが、製造コストが高いため通信事業者バックボーンネットワークなどで利用されることが多い。

SI型光ファイバー (ステップインデックス型光ファイバー)

マルチモード光ファイバーのうち、コア内部の光の屈折率が均一な(中心からの距離によって変化しない)構造のものを「ステップインデックス」(SI:Step-Index)型という。

構造が単純で低コストな代わりにモードによる光の分散も大きく、長距離・広帯域の伝送には向かない。通信事業者の局舎から加入者宅までの通信や、建物内の配線など短距離・低速の用途によく使われる。

(2023.8.18更新)

他の辞典による解説 (外部サイト)

この記事の著者 : (株)インセプト IT用語辞典 e-Words 編集部
1997年8月より「IT用語辞典 e-Words」を執筆・編集しています。累計公開記事数は1万ページ以上、累計サイト訪問者数は1億人以上です。学術論文や官公庁の資料などへも多数の記事が引用・参照されています。
ホーム画面への追加方法
1.ブラウザの 共有ボタンのアイコン 共有ボタンをタップ
2.メニューの「ホーム画面に追加」をタップ
閉じる