読み方 : でんりょくせんつうしん
電力線通信 【PLC】 Power Line Communication / 電力線搬送通信
概要
電力線通信(PLC)とは、電力線(電気配線)を通信回線として利用する技術。電気のコンセントに通信用のアダプタ(PLCモデム)を設置してパソコンなどをつなぐことにより、数Mbps~数百Mbpsのデータ通信が可能となる。解説 電力の供給のために屋内外に張り巡らされた送電線に高周波の電気信号を重畳して電力と共に流す技術である。高周波の信号は既存の電気製品には特に影響を与えず、電力網に接続された通信機器の間でのみ信号をやり取りできる。
電力会社などの送電網を利用した広域通信と、家庭内や建物内、敷地内の電気配線を利用した構内通信があるが、漏洩電磁波の外部への影響などから、ほとんどの国で広域通信は実用化されず、実際に利用されているのはもっぱら構内通信技術である。
ほとんどの建物には電気配線が張り巡らされているため、電力線通信を使うことにより新たにケーブルなどを敷設することなく手軽に構内通信網(LAN)を構築できる。LANケーブルの配線の無い古い建物や、Wi-Fi電波の通りの悪い建物などで既存の電力線を通じて低コストにネットワークを敷設できる。
「PLCアダプタ」と呼ばれる通信装置をコンセントに差し込んで通信する。同じ配電網に繋がる親機と複数の子機の間で通信でき、イーサネットやWi-Fiなど別の方式に信号を変換してパソコンなどの機器を接続したり、これらの方式の構内ネットワークに中継することができる。
日本では総務省が規制を緩和したのを受けて2006年12月に初めて電力線通信対応製品が発売された。標準規格としてHD-PLC(IEEE 1901)やHomePlug AV、G.hnなどが策定されており、日本ではパナソニックが推進するHD-PLCが有力である。HD-PLCでは最高240Mbpsで最長200メートルを接続できる。
(2025.9.4更新)