アップストリーム 【upstream】 上り
概要
アップストリーム(upstream)とは、「上流へ」という意味の英単語で、ITの分野ではネットワークなどで末端側から中心側へ向かう方向を表す。その方向に流れるデータや信号、それらの通信速度を指したり、中心側の領域や機器などを指すこともある。通信ネットワークで利用者に近い末端側の端末やクライアントなどから、中心側の拠点施設や集線装置、サーバなどへ向かう情報の流れをこのように言う。慣用的に「上り」と訳されることも多い。無線通信や衛星通信では「アップリンク」(uplink)ともいう。逆方向は「ダウンストリーム」(downstream)という。
固定系の公衆回線網(アナログ電話網や光ファイバー網など)では、個々の加入者宅から通信事業者の施設や設備(通信局など)へ向かう方向が、無線系の回線網(携帯電話網など)では利用者の通信端末から無線基地局などへ向かう方向が、それぞれアップストリームに当たる。
構内ネットワーク(LAN)などでは、個々の端末やパソコンなどからルータやスイッチ、バックボーンネットワーク、外部ネットワークなどへ向かう方向が、クライアントサーバ方式の情報システムではクライアントからサーバへの流れが、それぞれアップストリームとなる。
上りと下りの周波数帯域や通信速度が同じであるような通信方式を「対称通信」、異なるような方式を「非対称通信」という。電話などの音声通話は基本的に対称だが、インターネットに接続された端末は下りの需要の方が大きくなるのが一般的であるため、データ通信回線や通信サービスは下りのほうが速い非対称通信になっていることが多い。
ソフトウェア流通のアップストリーム
オープンソースソフトウェアなどでは、ソフトウェアの大本の開発元や配布元、およびそちらに近い側をアップストリーム、利用者に近い側をダウンストリームと呼ぶことがある。
LinuxカーネルとLinuxディストリビューションの関係のように、核となるソフトウェアを元に配布パッケージなどを作成する場合、中核のソフトウェアおよびその開発元などをアップストリーム、これを収録して再配布する側をダウンストリームということもある。
また、あるLinuxディストリビューションを元にして互換性のある別のディストリビューションを開発・配布する事例では、参照元のディストリビューションをアップストリーム、派生先のディストリビューションをダウンストリームという。