多元接続 【multiple access】 多重アクセス
概要
多元接続(multiple access)とは、一つの通信路を複数の通信主体で共有して同時に通信すること。また、そのために用いられる通信方式。特に、電波を用いた無線通信において、同一の周波数帯を複数の機器などで共用するための技術を指すことが多い。有線通信では複数のケーブルを用いてそれぞれ別の信号を流すことができるが、無線通信で用いる電波は同一空間内では共有の資源であるため、複数の機器が同時に通信したい場合は混信を防ぐため多元接続技術で分割して割り当てを行う必要がある。
分割の仕方によって様々な方式がある。古くから用いられている著名な方式として、電波を周波数帯によって分割する「FDMA」(Frequency Division Multiple Access:周波数分割多元接続)、同一の周波数帯を極めて短い時間毎に切り替えて利用する「TDMA」(Time Division Multiple Access:時分割多元接続)がある。
伝送路の利用状況を監視し、他の機器が信号を送信していない空きを見計らって送信を開始するCSMA/CD(イーサネットなどで利用)やCSMA/CA(Wi-Fiなどで利用)などの方式も、「PAMA」(Pulse Address Multiple Access:間欠送信多元接続)という多元接続技術の一種とみなすことがある。
近年では、同時に同じ周波数を用いるが、機器毎に異なる符号を乗じて信号を合成・分離する「CDMA」(Code Division Multiple Access:符号分割多元接続)や、指向性アンテナや複数のアンテナの位相のずれ(MIMO技術)などを利用して方向的(空間的)に分割する「SDMA」(Spatial Division Multiple Access:空間分割多元接続)などの技術も実用化されている。
(2023.9.4更新)