レイトコリジョン 【late collision】 遅延衝突 / 遅れ衝突

概要

レイトコリジョン(late collision)とは、複数の機器が同一の伝送路を共有する通信システムで、ある機器がデータの送出を開始したことを他のすべての機器が知った後であるはずのタイミングで信号の衝突(コリジョン)が発生すること。

イーサネットEthernet)など物理的な信号線を複数の機器で共有するネットワークでは、ある機器が信号を発すると、他の機器は信号の送出が終わるまで待機する。偶然同じタイミングで送出が始まると信号が衝突するため、これを検知して送出を中断、ランダムな待ち時間のあと先に送出を開始した方が送信権を得る。この仕組みをCSMA/CDという。

衝突の検知は信号を送出している間にしかできないため、自分が送出を開始してことを他のすべての機器が認識する(待機状態になる)までは信号を発し続けなければならない。このため、データが最大ケーブル長を往復する時間の間だけ信号を発し続けられるよう、最小フレーム長(イーサネットの場合は512ビット)が設定されている。

衝突は最小フレーム長のデータを送出し終えるまでに発生するはずだが、この時間を超えてから生じる衝突のことをレイトコリジョンという。正しく構成されたネットワークでは起きないはずの衝突であり、確実に検知できるとは限らないため、自動再送なども行われず信号が欠落する場合がある。

レイトコリジョンが発生する原因としては、ハブなどの中継機器や端末ネットワークインターフェースなどの不具合や故障、仕様の上限を超える長すぎるケーブルの使用、仕様の上限を超えるハブ多段接続などが考えられる。不良な機器を修理・交換したり、仕様を満たすよう正しい構成に改めることで改善することがある。

(2023.6.2更新)
この記事の著者 : (株)インセプト IT用語辞典 e-Words 編集部
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